猫
2026年11月04日

猫のマイクロチップって義務なの?費用・登録の流れと入れるタイミング

動物病院で診察を受ける猫

「猫にマイクロチップって、入れなきゃいけないの?」「ペットショップから迎えた子はもう入っているけれど、前から飼っている猫はどうすればいい?」「費用はどのくらい?痛くない?」――猫のマイクロチップについて、こうした疑問をお持ちの飼い主さんはとても多いです。

2022年6月から動物愛護管理法が改正され、販売される犬猫にはマイクロチップの装着と情報登録が義務化されました。一方で、すでに家族として暮らしている猫や、保護した猫については「努力義務」とされており、「結局うちの子はどうすればいいの?」と迷いやすい制度になっています。

この記事は 窪木 未津子(院長・獣医師) が監修しています。装着や登録について迷うことがある場合は、自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談してください。本記事では、法律上の位置づけ、費用と登録の流れ、入れるのに向いているタイミング、迷子や災害時に本当に役立つ理由、首輪やGPSとの違いまでをやさしく整理していきます。

✅ この記事のポイント

  • ペットショップやブリーダーから迎えた犬猫は装着・登録が義務、すでに飼っている猫や保護猫は努力義務です
  • 装着は動物病院でのみ可能で、専用の注射器で首の後ろあたりに短時間で入れられます
  • 費用の目安は装着3,000〜1万円程度+登録料300〜1,000円ほど(病院や方式により差があります)
  • 去勢・避妊手術と同時に行うと猫の負担が少なく、入れるタイミングとしておすすめです
  • 引っ越しや譲渡時の「変更登録」が漏れやすいので、情報は最新に保ちましょう

Contents

肝臓の数値・毛並み・元気が気になる猫ちゃんへ|獣医師が処方するプラセンタサプリ フェリスケア

猫のマイクロチップは義務なの?法律上の位置づけ

結論からお伝えすると、ペットショップやブリーダーなど販売業者から迎えた犬猫は、装着と情報登録が義務です。一方で、すでに家庭で飼われている猫や保護した猫については努力義務とされています。「必ず入れなければ罰せられる」というものではありませんが、強く推奨されている、という位置づけです。

販売される犬猫は「義務」

2022年6月の改正動物愛護管理法で、犬猫等販売業者(ペットショップ・ブリーダーなど)には、販売する犬猫へのマイクロチップ装着と、環境省のデータベースへの情報登録が義務づけられました。そのため、最近ペットショップから迎えた猫は、すでにチップが入っていて登録済みのことがほとんどです。

この場合、飼い主さんにしていただくのは「所有者変更の登録」です。販売時に渡される登録証明書を使って、30日以内にご自身の情報へ変更登録を行います。

すでに飼っている猫・保護した猫は「努力義務」

一方、法律が変わる前から飼っている猫や、ご自身で保護した猫については、装着・登録ともに努力義務です。入れなくても罰則はありませんが、迷子や災害、万が一の脱走時のことを考えると、入れておく意義はとても大きいと考えられます。

保護猫を譲り受けたときはどうなる?

保護団体や保護猫カフェから譲り受ける場合は、譲渡の時点でマイクロチップが入っているかどうかが分かれます。入っていれば所有者変更の登録を、入っていなければ必要に応じて動物病院で装着・登録を検討します。富士見台どうぶつ病院でも保護猫の譲渡を行っており、譲渡時のチップ装着・登録にも対応しています。「うちの子はどうなっているの?」と迷うときは、譲渡時の書類を確認しつつ受診時にご相談ください。

部屋でくつろぐ猫
Photo by Engin Akyurt on Pexels

マイクロチップってそもそも何?体に入れて大丈夫なの?

マイクロチップは、直径約2mm・長さ約8〜12mmほどの、円筒形の小さな電子標識器具です。中には15桁の固有の番号が記録されていて、専用のリーダー(読み取り機)をかざすと番号が読み取れる仕組みになっています。この番号と飼い主情報を環境省のデータベースに登録しておくことで、迷子になっても身元が分かるようになります。

どこに、どうやって入れるの?

装着は動物病院でのみ行える医療行為です。多くの場合、首の後ろから肩甲骨の間あたりの皮下に、専用の少し太めの注射器で挿入します。処置自体は数十秒〜1分ほどで終わり、通常は通常のワクチン注射に近い感覚と考えてよいでしょう。

痛みや安全性は?

針がやや太いため「ちくっ」とした痛みはありますが、一般的なワクチン接種と大きく変わらない範囲とされています。装着後に腫れたり、まれにチップが少し動いたりすることはありますが、重い副反応は非常に少ないとされています。GPSのように電池が入っているわけではなく、電波を常に発信するものでもないため、体への長期的な負担も少ないと考えられています。

一度入れたら交換は必要?

マイクロチップは基本的に一生交換不要です。電池を使わないため、寿命を気にする必要はほぼありません。情報は番号とデータベースで管理されるので、飼い主さんの住所や電話番号が変わったときは、チップ自体ではなく「登録情報」を更新することになります。

💡 ワンポイント

マイクロチップは「GPS」ではありません。離れた場所から居場所を追跡する機能はなく、保護された動物を病院や保健所などでリーダーにかざして初めて番号が読み取れる仕組みです。

費用はどれくらい?装着・登録のお金の目安

マイクロチップにかかる費用は、大きく分けて①動物病院での装着費用と、②データベースへの登録手数料の2つです。合計でおおよそ数千円〜1万円程度を見ておくと安心です。

装着費用の目安

装着費用は病院によって幅がありますが、おおむね3,000〜10,000円程度が一つの目安です。初診か再診か、他の処置と同時に行うかによっても変わります。正確な金額はかかりつけの動物病院に直接確認してください。

登録手数料の目安

環境省のデータベースへの登録手数料は、オンライン申請で300円、紙申請で1,000円程度とされています。所有者変更の登録や、住所・電話番号の変更登録にも手数料がかかる場合があります。

費用まわりの比較表

項目内容費用の目安
装着動物病院での注射処置3,000〜10,000円程度
新規登録環境省データベースへの登録オンライン300円/紙1,000円
変更登録所有者変更・住所変更などオンライン300円/紙1,000円

自治体の補助がある場合も

自治体によっては、マイクロチップ装着に対して補助金や助成制度を設けていることがあります。お住まいの市区町村のホームページを確認するか、動物病院で問い合わせてみると、思わぬ軽減につながることがあります。

装着から登録までの流れをやさしく解説

マイクロチップは「入れて終わり」ではなく、必ずデータベースへの情報登録とセットで初めて意味を持ちます。流れを知っておくと、受診当日もスムーズです。

①動物病院で装着する

まずは動物病院を受診し、体調を確認したうえで装着します。健康状態に問題がなければ、診察のついでに短時間で終わります。装着後、動物病院から「マイクロチップ装着証明書」が発行されます。この書類に記録されている15桁の番号は、登録時に必要になるので大切に保管してください。

②環境省のデータベースに登録する

販売業者から迎えた猫以外は、装着後30日以内に飼い主さん自身で環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトから登録を行います。装着証明書に記載されている暗証記号などを使い、オンラインまたは郵送で手続きできます。入力項目は、飼い主の氏名・住所・電話番号・猫の名前・生年月日などです。

③登録証明書を保管する

登録が完了すると、登録証明書が発行されます。この証明書は、引っ越しの変更登録、譲渡、万が一の問い合わせ時にも必要になるため、ワクチン手帳などと一緒にまとめて保管しておくと安心です。

販売業者から迎えた猫の場合

ペットショップやブリーダーから迎えた猫は、すでに装着・登録済みです。この場合、受け取った登録証明書を使って30日以内に「所有者変更登録」を行うことになります。「新規登録」と間違えやすいポイントなので、お手元の書類に書かれている指示をよく確認してください。

⚠️ こんなときは要注意

引っ越し・電話番号の変更・譲渡があったときは、必ず変更登録を行ってください。古い情報のままだと、保護されても連絡が取れず、せっかくのマイクロチップが機能しません。登録情報の更新忘れは、実はいちばん多い落とし穴です。

獣医師にやさしく抱かれる猫
Photo by Tahir Xəlfəquliyev on Pexels

いつ入れるのがいい?猫の負担が少ないタイミング

マイクロチップはどのタイミングで装着しても構いませんが、猫の体への負担や、通院の手間を考えると、他の処置と一緒に行える機会がおすすめです。

去勢・避妊手術と同時に

いちばんおすすめのタイミングが、去勢・避妊手術と同じ日です。全身麻酔がかかっている間に装着すれば、猫は痛みを感じずに済み、別日に受診する必要もありません。生後6か月前後で手術を予定している方は、ぜひ事前に動物病院へ相談してみてください。

子猫のワクチン接種のタイミングで

手術より前に装着したい場合は、ワクチン接種で通院するタイミングも選択肢です。体重の目安としては、おおむね生後2〜3か月以降で、体調が安定していれば装着を検討できます。ただし、体が小さすぎる場合はもう少し成長を待つことがあるので、獣医師と相談しましょう。

成猫から迎え入れた場合

保護猫や成猫として家族になった場合は、迎え入れ後の最初の健康診断や、初回のワクチン接種のタイミングで装着を検討するとスムーズです。健康状態をしっかり確認したうえで、負担の少ない日程を一緒に決めていきます。

シニア猫でも装着は可能?

シニア期の猫でも、健康状態に問題がなければ装着は可能です。ただし持病がある場合は、麻酔や処置のリスクを含めて慎重に判断します。「うちの子はもう高齢だから…」と諦めず、まずはかかりつけの動物病院で相談してみてください。

迷子・災害時にマイクロチップはどう役立つ?

完全室内飼いの猫でも、地震・台風などの災害時、ちょっとした窓や玄関の開け放し、工事・引っ越しのすきまから脱走してしまうことがあります。そんなときに、マイクロチップは猫と飼い主さんを再びつなぐ命綱になります。

保護された場所で身元確認ができる

迷子になった猫が保健所・動物愛護センター・動物病院などに保護されると、まずマイクロチップの有無をリーダーで確認します。番号が読み取れれば、データベースを通じて飼い主さんに連絡が入る仕組みです。首輪や名札が取れてしまっても、体の中に入っているマイクロチップは落ちることがありません。

災害時にはぐれても再会の可能性が高まる

大きな災害が起きたとき、ペットが保護されても、飼い主と再会できないまま時間が過ぎてしまうケースが少なくありません。マイクロチップがあれば、避難所や動物救護施設で保護された際にも身元確認がしやすくなり、再会の可能性がぐっと高まります。

所有権の証明にもなる

「この猫は本当にその方の猫ですか?」というトラブルが起きた際にも、登録情報は所有権を示す客観的な資料になります。保護活動や多頭飼育のご家庭では、特に心強い仕組みです。

首輪・迷子札・GPSとの違いと、組み合わせの考え方

「迷子対策なら、首輪や迷子札・GPSでいいのでは?」という声もよくいただきます。実は、マイクロチップとそれ以外の対策は、役割が違うので「併用」が理想です。

首輪・迷子札のメリットとデメリット

首輪や迷子札の良さは、見た目で「飼い猫だ」と分かることです。保護する人が電話番号を見て直接連絡しやすい反面、猫は体がしなやかで、何かに引っかけて外してしまうこともあります。安全性のため、強い力がかかると外れる「セーフティバックル」付きの首輪が推奨されており、その分「迷子中に外れている」可能性も残ります。

GPSのメリットとデメリット

GPSトラッカーは、リアルタイムに近い形で居場所を追えるのが最大の利点です。一方で、充電が必要、首輪に装着するタイプが多いため落ちると機能しない、建物内や地下では精度が落ちる、月額料金がかかる、といった側面もあります。

それぞれの違いを比較

項目マイクロチップ首輪・迷子札/GPS
外れる心配体内なので外れない外れる可能性あり
居場所の追跡できないGPSなら可能
身元の証明公的データベースで確実記載内容次第
維持の手間登録情報の更新のみ電池・紛失・買い替え

いちばん安心なのは「併用」

マイクロチップは「どんな状況でも身元が分かる最後の砦」、首輪や迷子札は「気づいた人がすぐに連絡できる第一歩」、GPSは「できる限り早く見つけるための手がかり」と、それぞれ役割が違います。完全室内飼いでも、マイクロチップ+首輪・迷子札の組み合わせを基本に考えておくと、万が一のときの安心感がぐっと高まります。

まとめ

猫のマイクロチップは、ペットショップやブリーダーから迎えた犬猫では装着・登録が義務、すでに家庭にいる猫や保護した猫では努力義務とされています。罰則はなくても、迷子や災害といった「もしも」に備える手段として、強くおすすめできる仕組みです。

費用は装着と登録を合わせて数千円〜1万円程度が目安で、一度入れれば基本的に一生交換は不要です。去勢・避妊手術やワクチン接種と同じタイミングで装着すれば、猫の負担も通院の手間も少なく済みます。

そして忘れてはいけないのが、引っ越しや譲渡時の変更登録です。せっかく入れていても、連絡先が古いままでは再会のチャンスを逃してしまいます。首輪・迷子札・GPSと組み合わせながら、情報を最新に保っていきましょう。

装着のタイミングや、現在の登録状況、保護猫の譲渡に関するご相談など、気になることがあればお気軽にかかりつけの動物病院へご相談ください。

よくある質問

Q. マイクロチップは入れないと罰則がありますか?

A. 一般の飼い主さんが、すでに飼っている猫や保護した猫に装着しなくても罰則はありません。あくまで努力義務とされています。ただし、ペットショップやブリーダーなどの販売業者には装着・登録の義務があり、未装着で販売することは禁じられています。

Q. マイクロチップはMRI検査や空港のゲートに影響しますか?

A. マイクロチップは電池を持たない受動的なチップで、常時電波を発信しているわけではありません。医療検査や一般的なセキュリティゲートで猫の体に悪影響が出ることは基本的にないとされていますが、画像検査などで気になる点がある場合は、担当の獣医師に伝えておくと安心です。

Q. 装着したマイクロチップが体の中で動くことはありますか?

A. ごくまれに、装着部位から少しずれて移動することがあります。読み取り時は、首の後ろから背中にかけて広めにリーダーをかざすため、多少動いても番号は読み取れることがほとんどです。心配な場合は、健康診断の際に位置を確認してもらうと安心です。

Q. 保護した猫を家族に迎えました。マイクロチップはどうすればいいですか?

A. まず、動物病院でリーダーをかざして既に入っているかを確認してもらうと確実です。入っていない場合は装着を検討し、入っていて前の飼い主の情報が残っている場合はデータベースを通じた手続きが必要になることがあります。詳しい手順は動物病院にご相談ください。

Q. 引っ越しや電話番号の変更があったら何をすればいいですか?

A. 環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」サイトから、変更登録を行ってください。オンラインなら300円程度の手数料で手続きできます。登録情報が古いままだと、万が一のときに連絡が届かないので、引っ越しや番号変更のタイミングで必ず更新しましょう。

監修:窪木 未津子(院長・獣医師)/麻布大学獣医学部卒業、ヤマザキ動物専門学校卒業。群馬県出身。埼玉県・東京都の動物病院での勤務を経て、富士見台どうぶつ病院 院長。獣医師・動物看護師の資格に加え、トリミングやドッグトレーニングの知識・技術をもち、暮らしのちょっとした悩みから病気・ケガの相談まで幅広く対応しています。

中野・練馬・杉並エリアで動物病院をお探しの方へ

富士見台どうぶつ病院は、西武池袋線「富士見台駅」南口より徒歩2分。中野区・練馬区・杉並区を中心に、鷺ノ宮・中村橋・下井草など近隣エリアの飼い主さまにご来院いただいています。猫のマイクロチップ装着や登録の相談、譲渡時の手続きなど、気になることがあればお気軽にご相談ください。WEB予約は24時間受付中です。

診療のご予約はこちら交通アクセス・地図を見る

アイキャッチ画像: Photo by freestocks.org on Pexels

フェリスケアとは?窪木獣医師が解説|獣医師が処方するプラセンタサプリ
診療のご予約