2026年09月09日

猫の健康診断は必要?何歳から・どんな検査・頻度の目安をやさしく解説

動物病院で診察を受ける猫

「うちの猫は元気そうだけど、健康診断って本当に受けた方がいいのかな?」「何歳から、どのくらいの頻度で連れて行けばいいの?」――そんな疑問を抱いたことはありませんか?

猫はもともと体調不良を隠すのが上手な動物です。「なんとなく元気がない」と気づいたときには、病気がかなり進行しているケースも少なくありません。だからこそ、症状が出る前に体の中の変化を拾いに行く「健康診断」が大きな意味を持ちます。とはいえ、何を・どのくらいの頻度で受ければいいのか、費用や検査内容も気になるところですよね。

この記事は 窪木 未津子(院長・獣医師) が監修しています。気になる症状がある場合は自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談してください。本記事では、猫の健康診断の必要性、年齢別の頻度の目安、基本の検査内容、健診で見つかりやすい病気、費用感、受けるベストなタイミングまでを、はじめての飼い主さんにもわかりやすく整理していきます。

✅ この記事のポイント

  • 猫は不調を隠す動物なので、元気に見えても定期的な健康診断がとても大切です
  • 成猫(1〜6歳)は年1回、7歳以上のシニア猫は年2回が健康診断の目安です
  • 基本の検査は身体検査・血液検査・尿検査で、必要に応じてレントゲンやエコーを追加します
  • 健診では慢性腎臓病・甲状腺機能亢進症・糖尿病など、早期発見が予後を左右する病気が見つかります
  • 費用は内容により5,000〜20,000円前後が目安。気になる症状がある場合は健診を待たず受診してください
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猫に健康診断は必要?受けるメリットとは

結論からお伝えすると、猫にも健康診断は強くおすすめします。若く元気に見える猫でも、体の中では静かに病気が進んでいることがあり、年に一度の健診が「早期発見・早期治療」の大きなチャンスになります。

猫は不調を隠すのが得意な動物

野生時代の名残から、猫は弱った姿を見せないよう本能的に体調不良を隠す傾向があります。ごはんもいつも通り食べて、日中も普通に寝ている――そんな猫でも、血液検査をすると腎臓の数値が悪化していた、というケースは珍しくありません。

「見た目が元気=健康」とは限らないのが猫の難しいところです。だからこそ、飼い主さんの目だけに頼らず、数値やレントゲンといった客観的な情報で体の状態を確認する機会が大切になります。

早期発見が寿命と生活の質を左右する

猫に多い慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、糖尿病などは、早く見つけて適切に管理できれば、進行を大きく遅らせられる病気です。逆に、症状が出るまで気づかれなかった場合、治療の選択肢が狭まり、猫にとっても負担の大きい治療になってしまうことがあります。

健康診断は「病気を探すため」だけではなく、今の元気な状態を数値として残しておくためにも役立ちます。翌年以降の検査結果と比べることで、小さな変化にも気づきやすくなるからです。

通院そのものに慣れるきっかけにも

健康診断を定期的に受けることで、猫がキャリーや動物病院に少しずつ慣れるというメリットもあります。いざ具合が悪くなったときに、慣れない通院で猫がパニックになってしまうのは避けたいもの。健診で「ちょっとした通院経験」を積んでおくことは、将来の治療のハードルを下げることにもつながります。

室内でくつろぐ猫
Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels

健康診断は何歳から?年齢別の頻度の目安

猫の健康診断は、子猫のうちから受け始めるのが理想です。年齢が上がるにつれて病気のリスクも高まるため、シニアになったら頻度を増やして体の変化を細かくチェックしていきます。

子猫(〜1歳)は迎え入れ時と1歳の節目に

子猫を迎えたら、まずは体調確認と寄生虫チェック、そしてワクチンプログラムの相談を兼ねて動物病院を受診します。この時期は成長そのものが早いため、ワクチン接種の折に体重や体の状態を丁寧に確認していくことが、実質的な健康チェックになります。

1歳を迎えたタイミングで、「大人としての基準値」を残す最初の健康診断を受けておくと、その後の比較がしやすくなります。

成猫(1〜6歳)は年1回が基本

体の成長が落ち着く1〜6歳ごろは、年に1回の健康診断を目安にします。この年代は見た目にはとても元気ですが、肥満・尿路トラブル・歯周病などが少しずつ進みやすい時期でもあります。年1回の健診とワクチン、フィラリア・ノミダニ予防の相談を、まとめて動物病院で受ける習慣をつけると管理しやすくなります。

シニア猫(7歳〜)は年2回がおすすめ

猫は7歳ごろからシニア期に入ると言われ、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症、心臓や関節のトラブルが増えてきます。この年代からは、半年に1回(年2回)の健康診断がおすすめです。半年あれば、腎臓の数値や体重の変化を早めに拾えるため、治療介入のタイミングを逃しにくくなります。

10歳を超えたハイシニアの猫では、体調に応じてさらにこまめな血液検査や尿検査を提案されることもあります。かかりつけの獣医師と相談しながら、その子に合ったペースを決めていきましょう。

年齢別・頻度の早見表

年齢健診の頻度目安主なチェックポイント
子猫(〜1歳)迎え入れ時+1歳の節目成長・寄生虫・先天性の異常
成猫(1〜6歳)年1回体重・歯・尿・基礎データの記録
シニア(7〜10歳)年2回腎臓・甲状腺・血糖・心臓
ハイシニア(11歳〜)年2回以上上記+関節・認知機能・腫瘍

猫の健康診断ではどんな検査をする?

健康診断のメニューは病院やコースによって異なりますが、基本となるのは「身体検査」「血液検査」「尿検査」の3つです。年齢や体調に応じて、レントゲンやエコーなどの画像検査を追加していきます。

身体検査(視診・触診・聴診)

獣医師が実際に体を触り、目で見て、聴診器で確認する基本の検査です。体重・体温・心拍・呼吸・粘膜の色・お腹の張り・リンパ節・被毛や皮膚の状態・口の中や歯などを幅広くチェックします。数字には出ない「なんとなくの違和感」を拾えるのは、この身体検査ならではの強みです。

血液検査でわかること

血液検査では、貧血の有無・肝臓や腎臓の働き・血糖値・電解質のバランス・炎症の有無などを調べます。シニア猫では、甲状腺ホルモン(T4)を追加で測定することもよくあります。

採血はほんの数分で終わりますが、得られる情報量はとても多く、見た目ではわからない体の中の変化を数字で見える化してくれる、健診の中心的な検査です。

尿検査でわかること

猫にとって尿検査はとても大切な検査です。尿の濃さ(比重)・pH・タンパク・糖・血液・結晶や細菌の有無などから、腎臓や膀胱、糖代謝の状態を知ることができます。特に慢性腎臓病は、血液検査より先に「尿が薄い」というかたちで異常が出ることも多く、尿検査をあわせて行う意義は大きいです。

健診当日は、可能であればその日の朝に取った尿を持参いただけると、より正確な評価ができます。採り方に迷ったときは、事前に動物病院で相談してみてください。

画像検査(レントゲン・エコー)

より詳しい評価が必要な場合や、シニア猫の年1回のドックとして、レントゲン検査超音波(エコー)検査を組み合わせることがあります。レントゲンでは心臓の大きさや肺、骨、お腹の中の全体像を、エコーでは臓器の内部構造や動きをリアルタイムで確認できます。

💡 ワンポイント

健診の予約時に「気になっていること」を伝えておくと、その内容に合わせて検査項目を調整してもらえます。飲水量が増えた、体重が減ってきた、吐く回数が増えた…など、小さな気づきもぜひメモしてお伝えください。

毛布の上でくつろぐシニア猫
Photo by Rino Adamo on Pexels

健康診断で見つかりやすい猫の病気

健康診断は「なんとなく」の検査ではなく、猫に多い病気を早期に見つけるための入り口でもあります。ここでは、健診をきっかけに発見されやすい代表的な病気をご紹介します。

慢性腎臓病

シニア猫でもっとも多い病気のひとつが慢性腎臓病です。初期はほとんど症状がなく、進行してから「水をよく飲む」「おしっこの量が増える」「体重が減る」といった変化が出てきます。血液検査(腎臓関連の数値)と尿検査(尿の薄さ・タンパク)を組み合わせることで、症状が出る前の段階で気づけることがあります。

早期に見つかれば、食事療法や生活面のケアで進行をゆるやかにできる可能性があります。

甲状腺機能亢進症

10歳以上の猫に多いのが甲状腺機能亢進症です。「よく食べているのに痩せてくる」「そわそわ落ち着かない」「毛づやが悪くなった」などのサインが出ますが、老化と見分けにくいのが特徴です。血液中の甲状腺ホルモン(T4)を測ることで診断につながります。

糖尿病

肥満気味の中〜高齢猫で増えているのが糖尿病です。多飲多尿や体重減少が典型的な症状ですが、健診の血液検査・尿検査で偶然見つかることも珍しくありません。早い段階で気づけば、食事とインスリンでの管理により長く付き合っていけるケースもあります。

尿路トラブル・結石

膀胱炎や尿路結石は、猫にとても多いトラブルです。尿検査で結晶や潜血、細菌が確認されると、症状が出る前に対策を始められます。血尿など気になるサインがあるときは、健診を待たずに受診してください。おしっこの色の変化が気になる方は猫のおしっこが赤い・ピンク…これって血尿?もあわせてご覧ください。

歯周病・口内トラブル

3歳を過ぎた猫の多くが、なんらかの歯周病を抱えていると言われます。口臭・よだれ・食べにくそうなしぐさが出る前に、健診時の口腔チェックで早めに気づくことが、将来的な抜歯や痛みを減らすことにつながります。

⚠️ こんなときは要注意

水を飲む量やおしっこの量が急に増えた・体重がじわじわ減っている・食欲が落ちてきた・呼吸が速い・元気が明らかにない、といった変化があるときは、次の健診を待たずにできるだけ早く動物病院を受診してください。

健康診断の費用感と受けるタイミング

「健康診断って、どれくらい費用がかかるの?」という点も気になるところですよね。動物病院やコース内容によって幅がありますが、目安を知っておくと計画しやすくなります。

費用の目安

あくまで一般的な目安ですが、内容ごとにおおよそ次のようなイメージです。

  • 身体検査+血液検査の基本コース: 5,000〜10,000円前後
  • 尿検査・便検査を追加した標準コース: 8,000〜15,000円前後
  • レントゲン・エコーまで含めたドック的なコース: 15,000〜30,000円前後

シニア向けのコースでは、甲状腺ホルモン測定などが追加されることもあります。具体的な料金や含まれる項目は病院ごとに異なるので、予約時に確認しておくと安心です。

受けるおすすめのタイミング

特に「いつでなければダメ」という決まりはありませんが、ワクチン接種と同じ時期にまとめると忘れにくくなります。また、暑さや寒さのピークを避けた春・秋は、通院そのものの負担も少なくおすすめです。

お誕生日月を「健診の月」と決めてしまうのも、続けやすい方法です。「毎年◯月は健診の月」と習慣化することで、うっかり数年空いてしまうのを防げます。

当日までの準備

血液検査を含む場合、病院によっては数時間の絶食をお願いされることがあります。前日夜〜当日朝の食事について、事前に確認しておきましょう。可能であれば当日朝の尿を持参し、最近気になっていることをメモしておくと、限られた診察時間の中でも情報がスムーズに伝わります。

富士見台どうぶつ病院の健康診断について

富士見台どうぶつ病院では、年齢や体調に合わせた健康診断メニューをご用意しています。一般診療に加えて眼科の専門外来もあるため、健診で気になる所見があった場合には、そのまま詳しい検査や継続的な管理につなげていくことも可能です。「うちの子の年齢だと何を受けたらいい?」といった相談だけでも大丈夫ですので、お気軽にご連絡ください。

まとめ

猫はとても我慢強い動物で、体調不良を隠す名人です。だからこそ、症状が出る前に体の中を確認できる健康診断は、猫の寿命や生活の質を守るうえでとても大切な習慣になります。

目安としては、成猫は年1回、7歳以上のシニア猫は年2回。身体検査に血液検査・尿検査を組み合わせるのが基本で、必要に応じて画像検査を加えることで、慢性腎臓病・甲状腺機能亢進症・糖尿病・尿路トラブル・歯周病などの早期発見につながります。

費用は内容によって幅がありますが、まずは基本コースからでも十分価値があります。お誕生日月やワクチンの時期にセットで受けるなど、続けやすい形で「健診の習慣」を作ってあげてください。そして、健診を待つほどではなくても気になる変化があるときは、遠慮なくかかりつけの動物病院にご相談ください。

よくある質問

Q. 若くて元気な猫でも健康診断は必要ですか?

A. はい、おすすめします。若い猫でも尿路トラブルや先天的な異常、肥満のサインなどが見つかることがあります。元気なうちに検査データを残しておくことで、将来の変化にも早く気づけるようになります。

Q. 健康診断の前日は絶食させた方がいいですか?

A. 血液検査の内容によっては、正確な結果のために数時間の絶食をお願いすることがあります。病院ごとに指示が異なるため、予約時に「食事や水はどうしたらいいか」を確認していただくと安心です。

Q. 猫が病院嫌いで連れて行くのが大変です。どうすればいい?

A. 普段からキャリーをリビングに出しておき、中でおやつをあげるなどして「安心できる場所」にしておくと通院の負担が減ります。移動中はキャリーをタオルで覆い、視界を落ち着かせてあげるのも有効です。難しい場合は、事前に病院へ相談してみてください。

Q. シニア猫の健診で特に大事な検査は何ですか?

A. 腎臓の状態を評価する血液検査と尿検査、そしてシニア猫に多い甲状腺機能亢進症を調べる甲状腺ホルモン検査が特に重要です。血圧測定や画像検査を加えることで、より丁寧な評価ができます。

Q. 健康診断で異常なしでも、途中で体調が変わったら受診すべき?

A. もちろんです。健診はあくまで「その時点での状態」を見るものです。飲水量や食欲、体重、トイレの様子などにいつもと違う変化を感じたら、次の健診を待たず、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。

監修:窪木 未津子(院長・獣医師)/麻布大学獣医学部卒業、ヤマザキ動物専門学校卒業。群馬県出身。埼玉県・東京都の動物病院での勤務を経て、富士見台どうぶつ病院 院長。獣医師・動物看護師の資格に加え、トリミングやドッグトレーニングの知識・技術をもち、暮らしのちょっとした悩みから病気・ケガの相談まで幅広く対応しています。

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