子猫を拾ったらどうする?週齢の見分け方・ミルク・育て方の基本

「道ばたで小さな子猫を見つけてしまった…」「連れて帰ったけれど、何をしてあげたらいいの?」
ふいに出会った小さな命を前にすると、うれしさよりも不安のほうが大きくなりますよね。子猫、特に生まれて間もない子は体温調節も食事も自力ではできず、対応の早さが命を左右することもあります。とはいえ、いくつかのポイントを押さえておけば、初動で大切な子猫を守ることは十分に可能です。
この記事は 窪木 未津子(院長・獣医師) が監修しています。気になる症状がある場合は自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談してください。本記事では、子猫を拾ったときの初動、週齢のおおよその見分け方、ミルクの選び方と与え方、排泄のお世話、離乳のタイミング、そして早めに受診したいサインまでを、はじめて子猫を迎える方にもわかりやすく整理していきます。
✅ この記事のポイント
- 子猫を拾ったらまず保温と全身のチェック、そして早めの動物病院受診が基本です
- 体重や歯・目の様子でおおよその週齢がわかり、ケア内容が変わります
- 子猫用ミルクを人肌に温めて、うつぶせ姿勢で少量ずつ与えます(牛乳はNG)
- 生後3〜4週までは自力で排尿・排便できず、湿らせたコットンで刺激が必要です
- 衰弱・低体温・脱水・下痢・ミルクを飲まないときはすぐに動物病院へ相談しましょう
Contents
子猫を拾ったらまず何をする?初動の3ステップ
結論からお伝えすると、子猫を拾ったときにまず優先したいのは「保温」「全身チェック」「動物病院への連絡」の3つです。ミルクや食事よりも先に、まずは体を温めて安全な環境を整えることが最優先になります。
①とにかく体を温める(保温が最優先)
生後間もない子猫は自分で体温を保てず、少し外にいただけでも低体温になっていることがよくあります。低体温のままミルクを与えると、消化できずに命に関わることもあるため、まずは温めることを優先してください。
タオルにくるみ、ペットボトルにお湯を入れてタオルで包んだ「湯たんぽ」や、使い捨てカイロをタオル越しに近くに置き、直接肌に当たらないようにしてじんわり温めます。段ボールなどに入れて、外気や風から守ってあげましょう。目安は子猫のお腹や耳がほんのり温かくなるくらいです。
②全身をやさしくチェックする
体が温まってきたら、明るい場所で全身の様子を確認します。ケガ・出血・目やに・鼻水・呼吸の乱れ・ノミやダニ・お腹の張りなどがないか、そっと触りながら見てあげてください。無理に暴れさせず、短時間で済ませます。
また、周囲に母猫やきょうだい猫がいないか、少し時間をおいて確認することも大切です。特に元気そうな子猫の場合、母猫が近くで待っていることがあります。判断に迷うときは野良猫を保護したらどうすればいい?もあわせてご覧ください。
③できるだけ早く動物病院へ相談
見た目が元気そうでも、拾った子猫はノミ・寄生虫・感染症・脱水などを抱えていることが少なくありません。先住猫がいるご家庭では特に、合流前に必ず動物病院で健康チェックを受けてください。
電話で「拾った子猫を診てほしい」と伝えれば、来院前に準備しておくべきことも教えてもらえます。「様子を見よう」より「早めに相談」のほうが、子猫にとっても飼い主さんにとっても安心です。
⚠️ こんなときは要注意
体が冷たくぐったりしている・口の中や舌の色が白っぽい・呼吸が弱い・目を閉じたまま反応が乏しい、といった場合は一刻を争います。まずタオルで包んで温めながら、すぐに動物病院へ連絡してください。

子猫のおおよその週齢の見分け方
子猫のケアは、週齢によって必要なことが大きく変わります。正確な週齢は動物病院で判断してもらうのが一番ですが、体の様子からおおよその目安を知っておくと、初動で困りにくくなります。
体重・見た目からわかる目安
もっともわかりやすいのが体重です。生まれたての子猫はおおよそ100g前後で、その後1日あたり10〜15gずつ増えていくのが一般的です。手のひらに乗るくらい小さければ、生後1〜2週の可能性があります。
目の様子もヒントになります。目が閉じているのは生後1週前後、目が開き始めるのが生後7〜10日ごろ、耳が立ってくるのは生後2〜3週ごろです。よちよち歩きから走り回るようになるのは、生後3〜4週を過ぎたあたりからになります。
歯の有無で見分ける
口の中もチェックポイントです。まだ歯が生えていないなら生後2週未満、小さな乳歯が見え始めるのは生後3〜4週ごろ、乳歯がひととおり生えそろってくるのは生後6〜8週ごろが目安です。歯が生えそろうと、ミルクから離乳食への準備段階に入ります。
週齢別ケアの早見表
| 週齢の目安 | 体の様子 | 主なケア |
|---|---|---|
| 〜1週(100〜200g) | 目・耳とも閉じている、歯なし | 徹底した保温、2〜3時間おきのミルク、排泄補助 |
| 2〜3週(200〜350g) | 目が開く、耳が立つ、よちよち歩き | 3〜4時間おきのミルク、排泄補助を継続 |
| 4〜5週(350〜550g) | 乳歯が生え始める、活発に動く | 離乳食スタート、自力での排泄が始まる |
| 6〜8週(600g〜1kg) | 乳歯がそろう、走り回る | 離乳完了、ワクチン・寄生虫予防の準備 |
体重は個体差もあるため、あくまで目安として考えてください。「思っていたより小さい」「体重が増えない」と感じたら、迷わず動物病院で相談することをおすすめします。
子猫のミルクの選び方と与え方
離乳前の子猫にとって、ミルクは命綱です。ここではミルクの種類・温度・与え方・注意点を整理します。人間用の牛乳は下痢を引き起こすため、絶対に与えないでください。
必ず「子猫用ミルク」を用意する
与えるのは、ペットショップや動物病院、ホームセンターなどで手に入る子猫用ミルク(キャットミルク)です。粉ミルクタイプが一般的で、成分が母猫の乳に近づくよう調整されています。すぐに手に入らないときは、動物病院に相談して代替品を教えてもらうと安心です。
用意するものは、子猫用ミルク・専用の哺乳瓶(またはシリンジ)・湯冷ましのお湯・清潔なタオルなど。哺乳瓶の乳首は、子猫の口に合ったサイズを選び、飲みにくそうならお湯で少しやわらかくしたり、動物病院で相談して穴の大きさを調整します。
温度・量・回数の目安
ミルクは人肌(37〜38℃くらい)に温めます。冷たいミルクはお腹を壊す原因になり、熱すぎるとやけどの危険があるため、腕の内側にたらして「ほんのり温かい」と感じる程度が目安です。
与える量と回数は、パッケージの表示を基本にしつつ、週齢の目安として次のように考えます。
- 生後〜1週: 2〜3時間おき、少量ずつ
- 生後2〜3週: 3〜4時間おき
- 生後4週以降: 4〜6時間おき(離乳食と併用)
子猫は一度にたくさん飲めないため、「少量を回数多く」が基本です。夜間もこまめに与える必要があり、特に最初の数日は睡眠不足になりがちですが、この期間はどうしても必要なケアと割り切って乗り切りましょう。
与えるときの姿勢と注意点
子猫にミルクを与えるときは、うつぶせ姿勢(お腹を下にした状態)で、頭を少し上げてあげます。人間の赤ちゃんのようにあお向けで飲ませるのは絶対にNGです。ミルクが気管に入り、誤嚥性肺炎を起こす危険があります。
ゆっくりと口の脇から哺乳瓶を差し入れ、子猫のペースに合わせて少しずつ含ませます。むせたり、鼻からミルクが出てきたりしたときは、いったん中断してください。飲み終わったら、口のまわりをやさしく拭いてあげましょう。
💡 ワンポイント
哺乳瓶やシリンジは、使うたびによく洗い、熱湯消毒して清潔に保ちます。作り置きしたミルクは雑菌が繁殖しやすいので、毎回作りたてを与えるのが安心です。
排泄のお世話と体重管理
生後間もない子猫は、自分でおしっこやうんちを出すことができません。飼い主さんが排泄を促してあげる必要があるため、ここは意外と見落とされやすい大切なケアです。
湿らせたコットンで排泄を促す
母猫はお尻をなめて子猫の排泄を促します。人がお世話するときは、ぬるま湯で湿らせたコットンやガーゼを使って、肛門と陰部のあたりをやさしくトントンとなでるように刺激します。目安はミルクの前後、1日5〜6回ほどです。
おしっこは基本的に毎回、うんちは1〜2日に1回程度出ることが多いです。丸1日以上おしっこが出ない・お腹が張っている・排泄物の色や状態がおかしいときは、脱水や消化トラブルの可能性があるため、動物病院に相談してください。子猫の脱水サインについては猫の脱水ってどうやってわかる?も参考になります。
自力での排泄はいつから?
生後3〜4週ごろになると、少しずつ自力でおしっこ・うんちができるようになってきます。このタイミングで、浅めのトイレと粒の細かめな砂を用意し、食後や寝起きにそっと乗せてあげると、自然にトイレを覚えていくことが多いです。
毎日の体重測定を習慣に
子猫の体調をつかむうえで、毎日同じ時間に体重を測ることはとても役立ちます。キッチンスケールに柔らかい布を敷き、その上に子猫を乗せて測るのが手軽です。健康な子猫は毎日少しずつでも体重が増えていくのが基本で、増えない・減っている日が続くときは要注意です。
体重の推移をノートやスマホにメモしておくと、動物病院を受診した際にも状況を正確に伝えられます。写真とセットで記録しておくのもおすすめです。

離乳のタイミングと進め方
ミルクだけの生活から、フードを食べる生活へと切り替えていくのが離乳です。子猫の成長にとって大きなステップなので、その子のペースに合わせて焦らず進めましょう。
離乳スタートの目安は生後4週前後
離乳を始める目安は生後4〜5週ごろ、乳歯が生えてきて、活発に動き回るようになる時期です。あまり早く始めすぎるとお腹を壊しやすく、逆に遅すぎるとミルク以外を受けつけにくくなることもあります。
進め方のステップ
最初は子猫用ミルクでふやかした子猫用フードを、指先やスプーンで口のまわりに少しつけて、なめさせるところから始めます。慣れてきたらお皿から食べさせ、徐々にミルクを減らしてフードの水分量を少なくしていきます。
- ステップ1: ミルクでとろとろにふやかしたフードを少量
- ステップ2: 少しずつ水分を減らしてやわらかいペースト状に
- ステップ3: ふやかしを軽くしていき、粒感を残す
- ステップ4: ぬるま湯で軽くふやかす〜そのままドライフードへ
離乳完了の目安は生後7〜8週ごろです。この時期になると、しっかりドライフードを食べ、水も自分で飲めるようになってきます。
離乳中の注意点
離乳期はお腹の調子が乱れやすい時期です。急にフードを変えたり、量を増やしすぎたりすると、下痢や嘔吐の原因になります。1回の量を少なめにして、1日4〜5回に分けて与えるのがコツです。下痢が続く・食欲がない・元気がないときは、早めに動物病院に相談してください。
拾った子猫の健康管理|寄生虫・感染症・環境づくり
拾ったばかりの子猫は、見た目が元気そうでもノミ・ダニ・お腹の寄生虫・ウイルス感染症などのリスクを抱えていることが少なくありません。動物病院での健康チェックとあわせて、家庭での環境づくりも大切です。
ノミ・ダニ・寄生虫のチェックと駆除
外にいた子猫には、ほぼ確実にノミやお腹の虫がついていると考えたほうが安心です。市販薬の中には子猫には使えないものもあるため、必ず動物病院で体重や週齢に合わせた薬を処方してもらいましょう。子猫向けの駆虫薬の選び方は猫にマダニがついていたら?もあわせて参考にしてみてください。
先住猫がいる場合は必ず隔離
先住猫がいるご家庭では、健康チェックが済むまで別室で隔離することが大切です。食器・トイレ・タオルはすべて分け、お世話の順番も「先住猫→新入り」の順にすると、感染症の広がりを抑えやすくなります。合流までの流れは、動物病院と相談しながら少しずつ進めていきましょう。
安心して過ごせる環境を整える
子猫が過ごすスペースは、静かで暖かく、狭すぎず広すぎない場所が理想です。段ボールや小型のケージにタオルを敷き、湯たんぽ・保温マットを片側に寄せて置くと、暑いときに子猫が自分で涼しい場所に移動できます。人の生活音が響きすぎない、落ち着ける場所を選んであげてください。
ワクチンや将来の去勢・避妊、ケアグッズについても、少し落ち着いてから動物病院で相談していきましょう。
早めに動物病院を受診したいサイン
子猫は体力が少なく、「少しおかしい」が数時間で悪化することも珍しくありません。次のようなサインが見られたら、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。
すぐに連絡したい症状
- 体が冷たい、ぐったりして反応が弱い
- ミルクをまったく飲まない、飲んでもすぐ吐く
- 1日以上おしっこ・うんちが出ない
- 下痢や嘔吐が続く、便に血が混ざる
- 呼吸が速い・浅い、口を開けて呼吸している
- 目やに・鼻水がひどく、目が開かない
- 体重が増えない、または減ってきている
受診時に伝えたい情報
受診の際は、拾った日時と場所・推定週齢・体重・ミルクの量と回数・排泄の様子・気になる症状をまとめて伝えられると、診察がスムーズです。可能ならメモや写真も持参しましょう。慌てず、正確な情報を伝えることが、子猫を守る大きな力になります。
⚠️ こんなときは要注意
「もう少し様子を見よう」は、子猫では命取りになることがあります。特に生後3週未満の子猫は体力の余裕がとても少ないため、迷ったら診療時間内であっても、時間外であっても、まず動物病院に電話をしてください。
まとめ
子猫を拾ったときにまず大切なのは、保温・全身チェック・動物病院への相談という3ステップです。ミルクや食事より先に、体を温めて安全な環境を整えることが、その後の命を大きく左右します。
週齢の目安がわかると、必要なケアの内容が見えてきます。生後間もない子には子猫用ミルクをうつぶせ姿勢で少量ずつ、排泄は湿らせたコットンで促し、毎日の体重測定で成長を確認していきましょう。生後4週ごろから少しずつ離乳を進め、8週ごろには通常の食事に切り替えていきます。
拾った子猫は、見た目に元気でも寄生虫や感染症を抱えていることがあります。健康チェック・ノミダニ予防・先住猫との適切な隔離を、動物病院と相談しながら進めていきましょう。
「小さな命を守れるかな」と不安になるのは、あなたが真剣に向き合っている証拠です。ひとりで抱え込まず、気になることは早めにかかりつけの動物病院へご相談ください。
よくある質問
Q. 拾った子猫に、家にある牛乳を与えてもいいですか?
A. 人間用の牛乳は乳糖が多く、子猫が下痢を起こす原因になるためおすすめできません。必ずペットショップや動物病院で手に入る子猫用ミルクを使ってください。どうしてもすぐ用意できないときは、動物病院に電話で相談すると代替の指示をもらえます。
Q. 子猫のミルクは、夜中も与えないといけませんか?
A. 生後2〜3週までの子猫は、夜間も含めて2〜4時間おきの授乳が必要です。体力の少ないこの時期は、長時間空腹が続くと低血糖を起こすことがあります。生後4週以降で離乳が始まると、少しずつ夜間の授乳を減らしていけます。
Q. 拾った子猫は、いつ動物病院に連れて行けばいいですか?
A. 基本的には「拾ったその日〜翌日」の早めの受診がおすすめです。特に元気がない・冷たい・出血しているなどの症状があるときは、時間帯を問わずすぐに連絡してください。元気そうに見えても、健康チェックや寄生虫の確認のために一度は受診しましょう。
Q. 先住猫がいますが、いつから一緒にできますか?
A. 動物病院での健康チェックが済み、2〜3週間の隔離期間を経てから、少しずつ対面させるのが安全です。においの交換や扉越しの対面から始め、様子を見ながら段階的に距離を縮めていきましょう。焦って合流させると、感染症やストレスの原因になります。
Q. 子猫の体重が増えないのですが、大丈夫でしょうか?
A. 健康な子猫は毎日少しずつでも体重が増えていくのが基本です。2日以上体重が増えない・減っている場合は、ミルクの量や与え方、隠れた病気の可能性もあるため、早めに動物病院で相談してください。日々の体重メモが診察に役立ちます。
監修:窪木 未津子(院長・獣医師)/麻布大学獣医学部卒業、ヤマザキ動物専門学校卒業。群馬県出身。埼玉県・東京都の動物病院での勤務を経て、富士見台どうぶつ病院 院長。獣医師・動物看護師の資格に加え、トリミングやドッグトレーニングの知識・技術をもち、暮らしのちょっとした悩みから病気・ケガの相談まで幅広く対応しています。
中野・練馬・杉並エリアで動物病院をお探しの方へ
富士見台どうぶつ病院は、西武池袋線「富士見台駅」南口より徒歩2分。中野区・練馬区・杉並区を中心に、鷺ノ宮・中村橋・下井草など近隣エリアの飼い主さまにご来院いただいています。猫がミルクを飲まない・体が冷たい・元気がないなど、いつもと様子が違うと感じたら、自己判断せずお早めにご相談ください。WEB予約は24時間受付中です。
アイキャッチ画像: Photo by Ludvig Hedenborg on Pexels


