2026年08月12日

猫のおしっこが赤い・ピンク…これって血尿?原因と受診の目安

トイレに座る猫

「猫のトイレを片づけようとしたら、おしっこがピンク色…」「砂に赤いシミがついている気がする。これって血尿?」

愛猫のおしっこの色がいつもと違うと、ドキッとしますよね。血尿は、猫では珍しくないサインの一つで、膀胱炎などの比較的よくあるトラブルから、命に関わる病気まで、さまざまな原因が隠れていることがあります。特に猫は不調を隠すのが上手なので、「色の変化」は飼い主さんが気づける貴重な体調のサインでもあります。

この記事は 窪木 未津子(院長・獣医師) が監修しています。気になる症状がある場合は自己判断せず、かかりつけの動物病院に相談してください。本記事では、血尿に見える色の正体、考えられる主な原因、緊急度の高いサイン、家庭での観察ポイント、受診の目安までを、猫の飼い主さん向けにやさしく整理していきます。

✅ この記事のポイント

  • 猫の尿が赤・ピンク・オレンジっぽいときは血尿の可能性があります
  • 膀胱炎・尿石症・腫瘍などさまざまな原因が考えられます
  • 「尿が出ない・出しづらい」を伴うときは命に関わる緊急事態です
  • 尿の色・回数・量・トイレでの様子をあわせて観察することが大切です
  • 血尿は自己判断せず、早めに動物病院で尿検査を受けるのが安心です

Contents

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猫のおしっこが赤い・ピンク…それって本当に血尿?

結論からお伝えすると、猫の尿がいつもと違う「赤み」を帯びているときは、血尿の可能性があります。ただし、色の見え方には尿の濃さや光の当たり方も関係するため、まずは落ち着いて色と状態を確認してみましょう。

血尿の色は「赤」だけとは限らない

血尿というと、真っ赤な血が出ているイメージがあるかもしれませんが、実際にはピンク・オレンジ・赤褐色・こげ茶色っぽい色など、さまざまな見え方をします。少量の血が混ざっている場合はうっすらピンク色に、時間が経ってから気づくと赤褐色に見えることもあります。

また、目で見て明らかな色の変化がなくても、顕微鏡でみると赤血球が混じっている「潜血」のケースもあります。「なんとなくいつもより色が濃い気がする」という感覚も、大切なサインです。

血尿と間違えやすい色の変化

一方で、赤っぽく見えても血尿ではないケースもあります。たとえば脱水気味で尿がぎゅっと濃縮されているときは、通常より濃いオレンジ〜濃い黄色になり、赤みが強く見えることがあります。フードやおやつに含まれる色素が影響することもまれにあります。

とはいえ、飼い主さんが見た目だけで「血かどうか」を判断するのは難しいのが正直なところです。「いつもと違う色だな」と感じたら、まずは動物病院で尿検査を受けるのが確実です。可能であれば、その日のおしっこを少量、清潔な容器に取って持参できると診断がスムーズになります。

猫の正常なおしっこの色は?

健康な猫のおしっこは、透明感のある薄い黄色〜黄色が基本です。逆に薄すぎて水のようなときは、水をたくさん飲んでいる背景に腎臓や内分泌の病気が隠れていることもあります。色だけでなく、量・回数・においの変化もあわせて意識してみてください。脱水のサインについては猫の脱水ってどうやってわかる?もあわせてお読みいただくと、日々のチェックに役立ちます。

水を飲む猫
Photo by FOX ^.ᆽ.^= ∫ on Pexels

猫の血尿で考えられる主な原因

猫の血尿の背景には、さまざまな病気やトラブルが考えられます。ここでは代表的な原因を、猫でよくみられるものを中心にご紹介します。

特発性膀胱炎(猫でとても多い)

猫の血尿の原因として非常に多いのが、猫特発性膀胱炎(FIC)と呼ばれるタイプの膀胱炎です。細菌感染など、はっきりした原因が特定できないのが特徴で、ストレスが発症や悪化に関わっていると考えられています。

引っ越し・家族構成の変化・新入り猫・トイレ環境の不満などをきっかけに、頻尿・血尿・トイレでうずくまる・排尿時に鳴く、といった様子が現れることがあります。

尿石症(結石・結晶)

膀胱や尿道に結石や結晶ができると、粘膜を傷つけて血尿が出ることがあります。オスの猫では特に、結晶や小さな石が細い尿道に詰まってしまう「尿道閉塞」のリスクがあり、これは命に関わる緊急事態です。

細菌性膀胱炎・腎盂腎炎

比較的高齢の猫や、他の病気を抱えている猫では、細菌感染による膀胱炎や腎盂腎炎が起こることがあります。血尿だけでなく、発熱・元気消失・食欲低下などがみられることも。抗菌薬による治療が必要になるため、こちらも動物病院での検査が欠かせません。

腫瘍(膀胱・尿道・腎臓など)

頻度は多くありませんが、シニア猫では膀胱や尿道、腎臓の腫瘍が血尿の原因となることもあります。慢性的にじわじわ続く血尿や、治療をしてもなかなか改善しない血尿の場合は、画像検査で詳しく調べることがあります。

外傷・その他

高いところからの落下や交通事故などによる膀胱・尿道・腎臓の外傷、まれに凝固異常(血が止まりにくくなる病気)や、玉ねぎなど中毒性のあるものの誤食による赤い尿など、さまざまな原因が考えられます。

主な原因よくある特徴
特発性膀胱炎若〜中年齢の猫、ストレスが関与、頻尿・少量ずつ
尿石症結晶や砂状のもの、オスは尿道閉塞に要注意
細菌性膀胱炎高齢猫や持病のある猫に多い、発熱を伴うことも
腫瘍シニア猫、慢性的な血尿、治療しても改善しにくい

「尿が出ない」は命に関わる緊急サイン

血尿の中でも、特に急いで動物病院に連絡してほしいのが「尿が出ない・ほとんど出ない」ケースです。特にオスの猫では、細い尿道が結晶や粘液の塊で詰まる尿道閉塞が起こることがあり、数時間の遅れが命取りになることもあります。

こんな様子は要注意

次のような様子が見られたら、様子を見ずに動物病院へ連絡してください。夜間・休日でも迷わずご連絡いただいて構いません。

  • トイレに何度も入るのに、おしっこがほとんど出ていない
  • いきんでいるのに、数滴しか出ない・血の混じった液しか出ない
  • トイレで長時間うずくまる、鳴きながらいきむ
  • お腹(下腹部)がパンパンに張って、触ると嫌がる
  • 元気がなくぐったり、嘔吐する、体が冷たい

なぜ命に関わるの?

おしっこが出ない状態が続くと、体の中に老廃物や毒素がたまり、急性腎障害・高カリウム血症などを引き起こします。放置すると数日以内に命に関わることもあるため、「便秘かも?」と自己判断せず、必ず動物病院に相談してください。

家庭でできる観察ポイント|受診時に役立つ情報

血尿が疑われるときは、動物病院での問診がとても大切になります。できる範囲で日々の様子を観察し、メモや写真に残しておくと、原因の推定や治療方針の決定にとても役立ちます。

尿の色・量・回数を見る

まずはトイレ掃除のタイミングで、次のポイントをチェックしてみてください。

  • 色: ピンク・赤・オレンジ・赤褐色など、いつもと違う色か
  • 量: 1回のおしっこの塊が、いつもより大きい/小さい/ほとんどない
  • 回数: 1日に何回トイレに行っているか(頻尿になっていないか)
  • におい: きつくなっていないか、アンモニア臭が強くないか

スコップですくえる砂であれば、塊の大きさで尿量をおおまかに比較できます。「今日は500円玉くらい」「今日は10円玉サイズが3つ」など、ざっくりでも構いません。

トイレでの様子を見る

トイレの中での猫の姿勢や時間も、貴重な情報です。いつもより長くうずくまっている、何度も出入りする、鳴きながらいきむ、途中で飛び出すといった様子があれば、排尿時の痛みや違和感が疑われます。

逆に、粗相が増えた(トイレ以外の場所でおしっこをする)のも、膀胱炎などの不快感によることがあります。「しつけの問題」と決めつけず、体のサインとして受け止めてあげてください。

飲水量・食欲・元気もあわせて

水を飲む量・食欲・活動性の変化も、大切な情報です。特に水をあまり飲まない猫は尿トラブルを起こしやすい傾向があります。「いつもより水を飲む量が減った・増えた」と感じたら、受診の際に伝えてみてください。

💡 ワンポイント

受診の際、可能であれば「新鮮なおしっこ」を持参できると、より正確な検査ができます。清潔な容器にとる、猫砂の代わりにラップやきれいなビニールを敷いてすくう、動物病院で専用の砂を分けてもらうなどの方法があります。採取が難しい場合は、無理せず病院で採ってもらう形でも大丈夫です。

動物病院で診察を受ける猫
Photo by Tima Miroshnichenko on Pexels

受診の目安|「様子見」でよいケースはある?

血尿は、基本的には「様子を見ずに、早めに動物病院で検査を受けてほしいサイン」です。原因によって治療法がまったく違ううえ、進行してから来院すると治療が長引くこともあります。

できれば当日〜翌日に受診したいケース

次のような場合は、なるべく早めに受診をおすすめします。

  • おしっこがピンク・赤・赤褐色に見える
  • トイレの回数が明らかに増えている(頻尿)
  • トイレでうずくまる時間が長い、鳴きながらいきむ
  • 粗相が増えた、いつもと違う場所で排尿している
  • 過去に膀胱炎・尿石症を起こしたことがある

夜間・休日でもすぐ連絡すべきケース

前述の「尿がほとんど出ていない」「下腹部が張って痛がる」「ぐったりしている」「嘔吐を繰り返す」といった様子がある場合は、時間帯にかかわらず動物病院に電話をしてください。

動物病院で行われる主な検査

動物病院では、問診と身体検査に加えて、尿検査(色・比重・pH・潜血・結晶・細菌など)を中心に、必要に応じて血液検査・超音波(エコー)検査・レントゲン検査などを組み合わせて原因を探ります。膀胱の中の結石や腫瘍、尿道の詰まり具合、腎臓の状態などを、猫の負担が少ない方法から順に確認していきます。

再発予防|猫の泌尿器トラブルとの付き合い方

猫の血尿の中でも特に多い特発性膀胱炎や尿石症は、「治ってからの生活の工夫」で再発リスクを下げられることがわかっています。日常の中で意識したいポイントを整理しておきましょう。

①水を飲みやすい環境をつくる

尿を薄く・たくさん出すことは、膀胱や尿道の健康を守るうえでとても大切です。器を複数箇所に置く・こまめに水を替える・少し高い位置に置く・流れる水を好む子には自動給水器を使うなど、その子の好みに合わせて工夫してみてください。ウェットフードやスープタイプのフードを組み合わせるのも有効です。

②トイレ環境を整える

猫はトイレの好みが繊細な動物です。頭数+1個のトイレ・こまめな掃除・好みの砂・静かで落ち着ける置き場所を意識してあげましょう。トイレを我慢することが、膀胱炎の一因になることもあります。

③ストレスを減らす

特発性膀胱炎はストレスとの関係が深いといわれています。上下運動できるキャットタワー・隠れられる場所・遊びの時間・同居動物との距離感など、猫が安心して過ごせる環境づくりを心がけましょう。生活環境が大きく変わったとき(引っ越し・工事・来客が続くなど)は、特に体調の変化にも気を配ってあげてください。

④定期的な健康チェック

一度でも膀胱炎や尿石症を経験した猫は、再発しやすい傾向があります。症状が落ち着いていても、定期的な尿検査・健康診断で早めにサインをキャッチできると安心です。特にシニア期に入ったら、年1〜2回の健康チェックを目安に検討してみてください。

まとめ

猫のおしっこがピンクや赤っぽく見えるとき、それは膀胱炎・尿石症・感染症・腫瘍など、さまざまな病気のサインである可能性があります。見た目だけで原因を見分けることはできないため、「いつもと違うな」と感じた時点で、動物病院での尿検査を受けることが、いちばんの近道です。

特に、「血尿がある」+「おしっこが出ない」「ぐったりしている」という組み合わせは、命に関わる緊急事態のサインです。ためらわず動物病院に連絡してください。

日々のトイレ掃除のときに、色・量・回数・においを何気なくチェックする習慣は、愛猫の体調の変化にいち早く気づくための大切な健康観察です。気になる変化があったときは、自己判断せず、かかりつけの動物病院にご相談ください。

よくある質問

Q. 血尿が1回きりで、あとは普通のおしっこに戻りました。それでも受診が必要ですか?

A. はい、できれば受診をおすすめします。血尿が一度だけに見えても、膀胱の中で炎症や結晶ができ始めているサインの可能性があります。可能であれば当日〜数日以内のおしっこを持参して、尿検査を受けると安心です。

Q. 猫のおしっこが濃いオレンジ色でした。これは血尿ですか?

A. 血尿の可能性もありますが、脱水で尿が濃縮されているだけのこともあります。飲水量や元気・食欲もあわせて確認し、心配なときは尿検査を受けてください。特にぐったりしている場合は早めの受診をおすすめします。

Q. トイレ砂に赤いシミがついていますが、猫は元気そうです。様子を見てもいい?

A. 元気そうに見えても、猫は不調を隠すのが得意です。血尿は体の中で何かが起きているサインなので、なるべく早めの受診をおすすめします。特にオス猫の場合は、尿道閉塞につながる前に原因を調べておくと安心です。

Q. ストレスで血尿が出ることは本当にあるのですか?

A. はい、あります。猫特発性膀胱炎はストレスとの関係が深い病気で、環境の変化や同居動物との関係などがきっかけになることがあります。治療とあわせて、生活環境の見直しも再発予防に大切です。

Q. どのくらいの頻度で健康診断を受ければよいですか?

A. 若い猫であれば年1回、シニア期(おおむね7歳以降)に入ったら年1〜2回の健康診断が目安です。過去に膀胱炎や尿石症を経験した子は、獣医師と相談してもう少し短い間隔で尿検査を受けると安心です。

監修:窪木 未津子(院長・獣医師)/麻布大学獣医学部卒業、ヤマザキ動物専門学校卒業。群馬県出身。埼玉県・東京都の動物病院での勤務を経て、富士見台どうぶつ病院 院長。獣医師・動物看護師の資格に加え、トリミングやドッグトレーニングの知識・技術をもち、暮らしのちょっとした悩みから病気・ケガの相談まで幅広く対応しています。

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