歯石の取り方
2024年07月05日

犬の歯石の取り方は?自宅でできる予防法、すぐに受診すべき症状も解説

愛犬のお口に関して、「歯が黄色くなっている」「口臭が気になる」といったお悩みはありませんか。このような様子が見られたら、わんちゃんの歯に「歯石」が付いている可能性が高いです。歯石はさまざまなトラブルを引き起こす原因になりますので、適切な方法でケアをしましょう。

今回は、歯石の原因や取り方、予防法について解説します。すぐに受診すべき症状にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

犬の歯石の原因

歯石とは、口の中の食べかすや細菌が集まってできる「歯垢(プラーク)」が石灰化して固まったものです。犬の場合、食事をしてから数時間ほどで歯垢が作られ、そのまま放置しておくと3〜5日程度で歯石へと変化します。

歯石が一度付いてしまうと、セルフケアで取り除くのは困難です。さらに歯垢や歯石が溜まりやすくなり、重症化すると骨や臓器にも影響を及ぼす可能性がありますので、早めに動物病院で治療を受けることが大切です。

犬の歯石に起因する病気

犬の歯石に起因する主な病気として、以下の2つが挙げられます。

<犬の歯石に起因する主な病気>

  • 歯肉炎
  • 歯周炎

歯肉炎と歯周炎は歯石関連の疾患といわれており、どちらも大きなくくりでは「歯周病」に分類されます。いざというときに落ち着いて対応できるよう、歯の病気に対する知識も深めておきましょう。

歯肉炎

歯肉炎とは、歯肉(歯茎)が炎症を起こした状態です。歯周病の初期段階にあたり、歯肉の赤みや腫れ、出血などの症状が見られます。歯肉炎は治療可能なため、この段階で早めに対応することが大事です。

歯周炎

歯周炎とは、歯肉の炎症が歯の周辺組織にまで及んでいる状態です。歯肉炎を放置して歯周炎にまで進行すると、歯茎が後退したり、歯がぐらついたりしてしまいます。歯肉炎の治療は難しく、場合によっては組織の除去や抜歯が必要になることもあわせて覚えておきましょう。

歯石は重大な疾患を引き起こす要因になる

私たち人間と同様に、犬も歯石が溜まると「歯周病」にかかってしまいます。歯周病は軽視されやすい病気の一つですが、心臓病や肝臓病を引き起こすリスクを持っているため、決して甘く見てはいけません。

愛犬のお口の中を確認し、歯石が付いている場合や歯周病が疑われる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。一見歯石がないように見えても、奥歯や歯周ポケットなどの見えにくい部分に付着しているケースも多いため、定期的に受診することをおすすめします。

動物病院での犬の歯石の取り方

動物病院での一般的な歯石除去の流れは以下のとおりです。

<犬の歯石の取り方>

  • 歯石や口全体の状態を確認する
  • 専用の器具で歯石を取り除く
  • 歯の表面を研磨して滑らかにする

以下では、①〜③のステップに分けて犬の歯石の取り方について詳しく解説します。なお、動物病院によって詳細は異なるため、詳しくは各病院のサイトをご確認ください。

①歯石や口全体の状態を確認する

まずは、ご家族にわんちゃんの様子をヒアリングしたり、実際に口の中を確認したりして、歯石や口全体の状態を把握します。

歯石の付き方や疾患の有無によっては、麻酔(全身麻酔)を使用した除去治療になることもあるので、治療方針について、獣医とご家族でしっかりと話し合うことが重要です。

麻酔をする場合は、事前にレントゲン撮影や血液検査を行ってから、施術に入ります。また、わんちゃんの年齢・状態によって入院が必要になることもあるので、事前の確認が必要です。

②専用の器具で歯石を取り除く

わんちゃんの歯石は、ハンドスケーラーという専用の器具を使って、削り取るのが基本です。病院によっては超音波スケーラーを使用し、振動で歯石を粉砕する施術を行うこともあります。

また、細かい歯石をキュレットという細い器具で掃除することもあり、丁寧に除去を進めていきます。

④歯の表面を研磨して滑らかにする

最後に、歯の表面をブラシで研磨する「ポリッシング」という処置を行います。ポリッシングを行うのは、歯石を削るときにできてしまう細かな傷を除去するためです。歯の表面を滑らかにすることで、歯垢や歯石が付きにくくなります。

犬の歯石取りの費用相場

犬の歯石取りにかかる費用は、1回あたり20,000〜100,000円程度と大きな差があります。金額に幅があるのは、わんちゃんの健康状態や大きさ(体重)、治療を受ける病院などによって費用が変わるためです。詳しい金額が知りたい方は、かかりつけの動物病院までお問い合わせください。

犬の歯石の予防法

犬の歯石を予防するために一番大切なことは「毎日の歯磨き」です。前述のとおり、歯石はセルフケアで取り除くことはできませんが、素となる歯垢は歯磨きで除去することができます。

わんちゃんが歯磨きに慣れるまでは大変なこともあると思いますが、根気強く続ければ快く受け入れてくれるようになるはずです。いきなり歯を磨こうとするとわんちゃんが驚いてしまうため、まずは口の周りを触ったり歯ブラシを舐めさせたりしながら、少しずつ慣れさせていきましょう。

すぐに受診すべき犬の歯石の症状

以下のような症状・状態が見られたら、早めに獣医師に相談しましょう。

症状・状態 受診をすすめる理由
歯に黄色くなっている(または白いものが付着している) 歯石が付いている可能性が高いため
歯茎が赤くなっている・腫れている 歯肉炎などの症状が考えられるため
歯茎から出血している 歯肉炎などの症状が考えられるため
口臭がきつくなっている 歯周病になっている可能性が高いため
よだれがよく出る 歯肉炎や歯周炎などにかかっている可能性があるため

繰り返しになりますが、歯石を放置しておくと歯周病などを引き起こす原因になります。症状が悪化すれば歯を失ったり、感染症にかかったりする可能性もありますので、早めに対処することが大切です。

また、歯茎に異常が見られる場合は、すでに歯肉炎や歯周炎などを発症していることが考えられます。上記の症状・状態以外にも、わんちゃんの様子を見て気になる点がありましたら、すぐに獣医師の診察を受けるようにしてください。

まとめ

今回は、犬の歯石の取り方について解説しました。歯垢が一度付いてしまうと、自然に取れることはありません。そのまま放置しておけば、歯周病にかかったり、歯が抜けてしまったりするなどわんちゃんに大変な思いをさせてしまいます。取り返しのつかない状態になる前に、毎日の歯磨きや定期的な歯科検診でしっかり予防に努めましょう。

また、犬の歯石はセルフケアで取り除くことはできません。もし愛犬の歯に歯石が付いてしまったら、すぐに動物病院で歯石除去(スケーリング)を受けましょう。

「富士見台どうぶつ病院」では、わんちゃんの一般診療をはじめ、歯石除去や抜歯などの歯科処置も行っています。愛犬の歯に関することでお困りの方は、ぜひ一度当院にご相談くださいませ。

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