口呼吸
2024年08月05日

猫が口呼吸をしているときは要注意!危険性や考えられる原因、対処法を解説

最近、愛猫が「口呼吸」をしていることはありませんか。わんちゃんとは違い、猫ちゃんが口呼吸をするときは、体になんらかの異常をきたしていることが多いです。愛猫の命に関わる問題のため、この機会に口呼吸に対する知識を深めておきましょう。

今回は、猫が口呼吸をする原因や対処法について解説します。正しい知識を身につけて、いざというときに適切な判断と行動ができるようにしましょう。

 

 

猫が口呼吸をしているときは要注意

猫の呼吸は「鼻呼吸」が基本です。そのため、口呼吸を続けている場合は、なんらかの原因によって鼻で息ができなくなっている可能性があります。

猫が口呼吸をする原因はさまざまですが、命に関わる病気が隠れていることもあるので注意が必要です。もし愛猫が口を開けてハァハァと息をしている場合は、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

猫の口呼吸から考えられる病気

前述のとおり、猫が口呼吸をしている場合、なんらかの病気にかかっている可能性があります。考えられる主な病気は以下のとおりです。

<猫の口呼吸から考えられる病気>

  • 猫風邪
  • 猫喘息(ねこぜんそく)
  • 熱中症
  • 気管支炎
  • 心臓病

以下では、それぞれの病気について詳しく解説していきます

猫風邪

猫風邪とは、ウイルスや細菌によって引き起こされる呼吸器疾患です。一般的に、くしゃみ・鼻水・咳などの症状が現れ、結膜炎による目やにや鼻詰まりに起因する口呼吸などが起こることもあります。

症状が悪化すると、肺炎に進行する可能性があるため、早期発見・早期治療が大切です。猫風邪はワクチン接種で予防できる場合がありますので、予防接種を受けることをおすすめします。

猫喘息

猫喘息とは、発作的に咳や喘鳴(呼吸時にゼイゼイ・ヒューヒューという音が出る)、呼吸困難などが起こる慢性気管支炎です。発症の仕組みはまだ明らかにされていませんが、ハウスダストや花粉、タバコの煙などが関与していると考えられています。

猫喘息に関しては、現在のところ確実な予防法はありません。愛猫が口呼吸をしており、様子がおかしいと感じたら、早めに獣医師に相談しましょう。

気管支炎

気管支炎とは、空気の通り道である気道(気管・気管支)に炎症が起きている状態です。ほかの病気によってひどい咳が続いたり、ウイルスや細菌が感染したりすることで、発症するケースが多く見られます。

気管支炎になると、嘔吐時の動作に似た咳をはじめ、発熱や呼吸が荒くなるなどの症状が現れます。これらの症状が見られた場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

心臓病

猫が口呼吸をする原因として、心臓病の可能性も考えられます。心臓病には心不全や心臓弁膜症などさまざまな種類がありますが、特に多く見られるのが「肥大型心筋症」という病気です。

肥大型心筋症とは、心室(心臓の下側にある2つの部屋)の壁が肥厚して硬くなり、心臓のポンプ機能が低下する病気のことを指します。初期症状はほとんどなく、進行に伴って活動性の低下や疲れやすくなるなどの症状が出始めますが、重篤な症状が現れるまで気づかないことがほとんどです。

病気が進行すれば、足の麻痺や臓器障害などを起こす可能性があるほか、命に関わる危険性もあります。早期発見のためには、定期的に健康診断を受けることが重要です。

熱中症

人間と同様に、猫も熱中症になることがあります。初期症状として開口呼吸(パンティング)がよく見られますが、これは体内に溜まった熱を外に逃がし、体温を下げるための行為です。

もし愛猫が口を開けて激しく呼吸(パンティング)をしており、「暑い所にずっといた」「しばらく水を与えていなかった」などの条件がそろっている場合には、熱中症による口呼吸を疑いましょう。ほかにも、熱中症では以下のような症状が見られます。

<熱中症の主な症状>

  • よだれを垂らす
  • 目のふちや鼻が赤くなる
  • ぐったりしていて元気がない
  • 食欲がない
  • 嘔吐や下痢をする

口呼吸のほか、これらの症状が見られる場合には、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

猫が口呼吸をする原因(病気以外)

猫が口呼吸をするのは、必ずしも病気が原因であるとは限りません。病気以外では、以下のことに起因して一時的に口呼吸をすることもあります。

<猫が口呼吸をする原因(病気以外)>

  • 運動
  • ストレス
  • 体温調節
  • 鼻詰まり

それでは、病気以外の原因についても詳しく見ていきましょう。

運動

猫は激しい運動をした後に口呼吸をすることがあります。人間と同じように、猫もたくさん走ったり遊んだりすると、呼吸が乱れてしまいます。

さらに猫は汗をほとんどかかないため、呼吸を整えるほか、上昇した体温を下げるためにも口呼吸をするのです。この場合の口呼吸は過度に心配する必要はありませんが、あまりにも頻度が高い場合には一度検査を受けることをおすすめします。

ストレス

猫はストレスを感じているときや興奮しているときにも口呼吸をすることがあります。一般的に、以下のような状況で口呼吸をする猫ちゃんが多いです。

<猫がストレスを感じやすい・興奮しやすい状況>

  • 動物病院など苦手な場所に連れて行かれる
  • 車に乗せられる
  • 初めての場所に来た
  • 知らない人や猫が来た
  • 掃除機など大きな音が鳴っている

猫はデリケートな生き物であり、慣れない環境に置かれるとストレスを感じてしまいます。過剰なストレスは口呼吸のほか、脱毛などの症状にもつながりますので注意が必要です。

まずは愛猫の様子をよく観察し、嫌いなことや苦手なことを把握しましょう。そして可能な限りストレス源を取り除き、快適に暮らせる環境を整えてあげることが大切です。

鼻詰まり

猫が口呼吸をする原因として鼻詰まりも挙げられます。鼻詰まりの原因はさまざまで、感染症やアレルギーに起因することもあるため、決して甘く見てはいけません。

また、猫は匂いによって食べ物や周りの様子を把握する生き物です。そのため、鼻で呼吸ができないほど詰まっている状態は、猫ちゃんにとっては重症といえます。もし愛猫が鼻詰まりを起こしている場合には、病気の可能性も考えて、早めに獣医師に診てもらうと良いでしょう。

猫が口呼吸しているときの対処法

猫が口呼吸をしているときの対処法は、考えられる原因によって変わってきます。例えば、激しい運動をした後や慣れない環境にいるときの口呼吸は、一時的なものであることが多いです。この場合は、しばらく様子を見て異常が見られなければ、過度に心配する必要はないでしょう。

一方で、口呼吸が数分程度で収まらなかったり、頻繁に繰り返したりする場合は病気の可能性が考えられます。口呼吸以外の症状が見られる場合も、なんらかの病気が疑われるため、すぐに動物病院を受診するようにしてください。

また、熱中症が疑われるときは、速やかに応急処置を行うことが大切です。風を当てるなどして体を冷やし、少しずつ水を飲ませたら、その後すぐに動物病院に連れて行きましょう。

まとめ

猫は口呼吸をあまりしない生き物です。安静にしているのに口で呼吸をしていたり、ほかの症状が見られたりする場合には、なんらかの病気にかかっている可能性があります。

また、激しい運動や一過性のストレスなどが原因ではなく、実は病気が隠れていたというケースも少なくありません。愛猫の健康を守るためには、日頃から呼吸状態をチェックし、少しでも異変を感じたら動物病院を受診することが大切です。

「富士見台どうぶつ病院」では、ご家庭で飼われているペット動物たちの一般診療を行っています。定期的な健康診断や予防接種にも対応していますので、富士見台周辺で動物病院をお探しの方はお気軽にお越しくださいませ。

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