2024年07月16日

犬がかかりやすい皮膚病について解説!症状や種類、治療法までご紹介

わんちゃんの病気のなかでも、特に多く見られるのが「皮膚病」です。愛犬がよく体をかいたりかじったりしている場合は、皮膚になんらかのトラブルが起きているかもしれません。

今回は、犬の皮膚病の症状や種類、治療法について解説します。今からできる有効な予防法も紹介しますので、愛犬の健康維持にお役立てください。

 

 

犬の皮膚病の主な症状

何かしらの原因で皮膚トラブルが起きたとき、皮膚に現れる見た目の変化のことを「発疹(ほっしん)」といいます。犬の発疹でよく見られるものは以下のとおりです。

<犬の皮膚病の主な症状>

  • かゆみが生じる
  • 皮膚が赤くなる
  • ぶつぶつとした発疹が現れる
  • 皮膚が腫れる
  • かさぶたができる
  • フケが出る
  • 毛が抜ける

時間が経つにつれて治るものもありますが、このような症状が見られる場合は皮膚病が疑われます。皮膚病を放置しておくと、症状が悪化したり慢性化したりする可能性がありますので、早めに動物病院を受診することが大切です。

よく見られる犬の皮膚病の種類

犬の皮膚病にはさまざまな種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。代表的な皮膚病は以下のとおりです。

<よく見られる犬の皮膚病の種類>

  • アトピー性皮膚炎
  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • 皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
  • マラセチア皮膚炎
  • 角化型疥癬(かくかがたかいせん)
  • 膿皮症(のうひしょう)
  • 甲状腺機能低下症

ここからは、上記の皮膚病の原因や特徴について解説していきます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、ハウスダストや食べ物などアレルギーの原因となる物質(アレルゲン)が、皮膚の内部に侵入することで起こる病気です。免疫が過剰に反応し、かゆみや赤み、皮膚の変色(黒ずみ)といったアレルギー症状を引き起こします。

犬においては生後6ヶ月から3歳頃までの若齢期に発症することが多く、顔周りや足先、脇などの皮膚が擦れる部分に症状が出やすいのも特徴です。アトピー性皮膚炎を発症する犬は、遺伝的に皮膚のバリア機能に異常があると考えられており、特に柴犬・シーズー・トイプードルといった犬種で多く見られます。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミアレルギー性皮膚炎は、犬に吸血したノミの唾液に対するアレルギー反応によって起こる皮膚病です。症状としては、広範囲にわたる強いかゆみやぶつぶつとした発疹、フケや脱毛などが見られます。

わんちゃんが頻繁に体をかく・舐める・毛をむしるといった行動を見せる場合、ノミアレルギー性皮膚炎を発症しているかもしれません。この皮膚病は、ノミが生息する部分に症状が現れ、特に背中・腹部・足の付け根・尻尾などに現れやすいです。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症とは、カビである糸状菌が感染することで起こる皮膚病です。免疫力の低い子犬や老犬に起こりやすく、主な症状としてかゆみや赤み、かさぶた・フケ・円形脱毛などが挙げられます。これらの症状は、顔周りや足先といった菌に触れやすい部分で見られることが多いです。

また、皮膚糸状菌症は人にも感染する可能性があります。そのため、早期の治療と日頃からの感染対策を行うことが大切です。

マラセチア皮膚炎

マラセチア皮膚炎は、犬の皮膚の表面に生存するマラセチアという菌によって引き起こされる病気です。この菌が異常に繁殖すると、皮膚がベタベタするほか、かゆみ・赤み・脂っぽい臭いなどさまざまな症状が現れます。

特に春から夏までの暖かくなる時期に発症することが多く、耳や脇、足先といった皮脂が溜まりやすい部分に症状が出やすいです。マラセチア皮膚炎は、シーズーやアメリカンコッカースパニエルなどの皮脂が多い犬種でよく見られます。

角化型疥癬

角化型疥癬とは、ダニの一種であるヒゼンダニが原因となって起こる皮膚病です。このダニが犬の皮膚に寄生すると、非常に強いかゆみを引き起こし、過剰にかくことでかさぶたや脱毛につながるケースもあります。症状は耳の周辺や肘・膝・かかとに出やすいです。

また、角化型疥癬は犬から犬だけではなく、犬から人に感染することもあります。そのため、治療と同時に、同居しているわんちゃんやご家族を守るための対策も必要です。

膿皮症

膿皮症は、犬の皮膚に常在する細菌(主にブドウ球菌)が増殖することで生じる皮膚炎です。症状としては、かゆみ・赤み・脱毛・フケなどがよく見られます。

本来、ブドウ球菌は皮膚に悪さをすることはありません。しかし、基礎疾患などが原因で皮膚のバリア機能が低下すると、細菌の増殖・感染によって皮膚炎を引き起こす場合があります。膿皮症は、どの部分にも発症する可能性がありますが、特に背中や腹部で起こりやすいです。

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甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌量が減少することで起こる病気です。高齢の犬に起こりやすく、左右対称の脱毛や皮膚が黒くなる(色素沈着)などの症状が見られる場合には、甲状腺機能低下症が疑われます。

また、甲状腺の機能が低下すると、低体温・筋力低下・肥満などにもつながります。愛犬がよく寝るようになったり、あまり食べていないのに体重が増えたりする場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

犬の皮膚病の治療について

前述したように、犬の皮膚病はさまざまな原因によって引き起こされるものです。そのため、有効な治療やケアを行うには、まずは病気の原因を把握しなければなりません。

動物病院にて原因を特定した後、それに合わせて治療を行います。皮膚病では、以下のような治療法が一般的です。

<犬の皮膚病の主な治療法>

  • 塗り薬
  • 飲み薬
  • 注射
  • 薬用シャンプー

例えば、マラセチア皮膚炎を発症している場合は、原因であるマラセチアを殺菌するために薬用シャンプーを使って治療します。皮膚病の治療は、病気の種類や症状の度合いによって異なりますので、獣医師とよく相談しながら進めていきましょう。

犬の皮膚病の予防法

犬の皮膚病を防ぐには、罹患(りかん)しやすい病気について調べるほか、皮膚の健康を保つための対策を講じることが大切です。以下におすすめの予防法をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

予防法 概要
アレルギー検査を受ける アレルギー反応を起こす可能性がある物質や食品を推測できる
スキンケアを行う 薬用シャンプーやブラッシングなどを行うことで、皮膚病の原因を抑制・除去できる
生活環境を整える 適切な温度・湿度を保つことで、細菌の増殖や乾燥(かゆみの原因)、症状の悪化などを抑えられる
害虫・寄生虫対策をする 皮膚病の発症だけではなく、人間やほかの動物への感染も予防できる
定期的に動物病院を受診する 皮膚にいる細菌や寄生虫を確認することで、皮膚病の発症リスクを下げられる

犬の皮膚病に関しては、さまざまな予防法が確立されていますが、自己判断で行うと逆効果になってしまうこともあります。そのため、必ず動物病院を受診し、獣医師の指示に従って行うようにしましょう。

まとめ

わんちゃんが皮膚病になると、かゆみや赤み、脱毛といった症状が現れます。原因も実にさまざまで、適切な方法で対処するには、検査によって原因を特定しなければいけません。

また、症状が悪化したり慢性化したりすると、完治するまでに時間がかかることもあります。日頃から愛犬の様子をしっかり観察し、皮膚病が疑われる場合には、なるべく早く動物病院を受診しましょう。

「富士見台どうぶつ病院」では、ご家庭で飼われているペット動物たちの健康をサポートするため、一般診療や健康診断などを行っています。精密検査を通して原因を究明し、ベストな治療をご提案いたしますので、愛犬の皮膚の状態が気になる方はぜひ当院までご相談ください。

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