外耳炎
2024年07月08日

犬の外耳炎ってどんな病気?原因や症状、治療法をわかりやすく解説

わんちゃんがかかりやすい耳の病気のひとつに「外耳炎」があります。命に関わる病気ではありませんが、治療しなければわんちゃんに大きな負担がかかり、重症化・慢性化してしまうこともあるので注意が必要です。

今回は、犬の外耳炎の原因や症状、治療法についてわかりやすく解説します。自宅でできる予防法も紹介しますので、愛犬の耳の状態が気になる方はぜひ参考にしてください。

 

 

犬の外耳炎とは

外耳炎とは、外耳(耳の入り口から鼓膜までの部分)に炎症が起きる病気です。多くのわんちゃんがかかりやすい病気であり、耳が痛くなったりかゆくなったりするなどの症状が現れます。

治療を行わないと、中耳炎や内耳炎などを引き起こし、さらに症状を悪化させてしまう場合もあるので注意が必要です。外耳炎はわんちゃんにとって非常にストレスのかかる病気のため、早期の治療をおすすめします。

犬の外耳炎の原因

わんちゃんが外耳炎を起こす主な原因として、以下の4つが挙げられます。

<犬の外耳炎の原因>

  • 異物
  • アレルギー
  • 寄生虫
  • 細菌・真菌

ここからは、外耳炎の原因について詳しく解説していきます。

異物

耳道内に異物が入り込むと、外耳炎を起こすことがあります。例えば、お散歩中に植物の種や小さな虫が耳の中に入ってしまい、異物による物理的な刺激が原因になるケースは少なくありません。

アレルギー

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどを抱えている場合、外耳炎が起こりやすくなります。アトピーやアレルギーを持つわんちゃんは皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌や真菌(カビ)の感染が起こりやすく、感染性の外耳炎をくり返すことがあります。

寄生虫

ダニやノミといった寄生虫も、外耳炎を引き起こす原因となります。とくに多く見られるのが「ミミヒゼンダニ(耳疥癬)」の寄生です。この生物が外耳道に寄生すると、強い痛みを伴う外耳炎が発症し、黒から茶褐色の耳垢が出ることもあります。

細菌・真菌

細菌や真菌などの微生物の増殖は、外耳炎の直接的な原因になるわけではありません。しかし、外耳炎を慢性化させ、症状の悪化につながる要因となるので注意が必要です。

少数ではありますが、正常な耳にもブドウ球菌などの細菌やマラセチアといった真菌が見られます。そして耳道内に炎症が起こると、微生物が繁殖しやすい環境ができ、外耳炎を悪化させてしまうのです。

外耳炎になりやすい犬種

一般的に、外耳炎は比較的若い年齢での発症が多いといわれています。そのほか、垂れ耳や耳毛が多いなど外耳炎を起こしやすい原因を持っている犬種や、アレルギー疾患を発症しやすい犬種などで多く見られます。

以下に、外耳炎になりやすいといわれている主な犬種をまとめましたので、該当する方はとくに注意しましょう。

<外耳炎になりやすい犬種の例>

  • アメリカンコッカースパニエル
  • ラブラドールレトリーバー
  • ミニチュアシュナウザー
  • シーズー
  • フレンチブルドッグ
  • パグ 

犬の外耳炎の症状

愛犬に以下のような症状が見られた場合、外耳炎にかかっている可能性があります。

<犬の外耳炎の症状>

  • 耳を引っかく
  • 耳を地面などにこすり付ける
  • 首や耳を振る
  • 首を傾ける
  • 耳が赤く腫れている
  • 耳が臭う
  • 耳垢が多い

外耳炎が発症すると、耳に痛みやかゆみを感じるようになります。そのため、外耳炎にかかっているわんちゃんは、耳の違和感が気になって「耳を引っかく」「首を振る」といった行動をとることが多いです。

また、耳の中を見たときに「赤く腫れている」「臭いが気になる」「耳垢が溜まっている」といった場合にも外耳炎が疑われます。これらの症状が見られた場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

犬の外耳炎の治療法

外耳炎の治療法は、獣医師がわんちゃんの状態を確認し、原因や症状に応じて決定します。一般的な治療法は以下のとおりです。

<犬の外耳炎の治療法>

  • 耳の洗浄
  • 内服・外用薬
  • 異物の除去
  • アレルギー治療
  • 駆虫薬
  • 外科手術

いざというときに安心して治療を受けられるよう、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

耳の洗浄

外耳炎の治療には耳の洗浄が効果的です。専用の洗浄液を使って耳の中を洗うことで、汚れや耳垢、細菌などを取り除くことができます。

内服・外服薬

外耳炎の治療では、抗炎症成分や抗菌成分などが配合された点耳薬が処方されることが多いです。症状の程度やわんちゃんの性格によっては、内服薬が処方されることもあります。

異物の除去

耳道内にある異物が外耳炎の原因となっている場合、その異物を取り除く必要があります。場所によっては全身麻酔をかけての処置が必要です。

アレルギー治療

外耳炎の原因がアトピー性皮膚炎や食物アレルギーである場合、耳の炎症や感染を抑える治療に加えて、アレルギーに対する治療も行っていきます。

駆虫薬

耳の中に寄生虫が存在する場合、耳の洗浄や点耳薬だけでは対処できません。そのため、駆虫薬を投与して寄生虫を駆除する必要があります。

外科手術

外耳炎が重度の場合や腫瘍が原因である場合には、外科手術(耳道や腫瘍の切除など)を行うことがあります。

犬の外耳炎の治療において大切なこと

外耳炎は慢性化しやすい病気のため、最後まで確実に治療してあげることが大切です。感染や炎症が残っている状態で治療をやめてしまうと、またすぐに再発してしまいます。

愛犬の調子がよさそうに見えても、外耳炎の原因がすべて取り除かれているとは限りません。早く治療をやめさせてあげたいという気持ちもわかりますが、今後のわんちゃんの生活を考えるのであれば、根気強く治療を続けることが何よりも大切です。

犬の外耳炎の予防法

わんちゃんの外耳炎を予防するには、定期的に耳掃除を行い、清潔な状態を保つことが大切です。ただし、誤った方法で耳掃除を行うと、それが原因で外耳炎を起こしてしまう可能性があります。

耳掃除のやり方や頻度については、必ずかかりつけの獣医師の指示に従ってください。自宅での耳掃除が難しい場合には、1ヶ月に1回ほど動物病院で耳掃除をしてもらうことをおすすめします。

また、日頃から耳の中をよく見て観察し、赤く腫れていないか・悪臭はないか・耳垢が溜まっていないかをチェックしましょう。外耳炎が疑われる場合は、早めに動物病院を受診するようにしてください。

まとめ

今回は、犬の外耳炎について解説しました。わんちゃんにとって外耳炎は日常的な病気であり、異物やアレルギーなどさまざまな原因によって引き起こされます。耳を引っかいたり、首を振ったりといつもと違う様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

また、外耳炎は軽度であれば耳の洗浄や点耳薬などで対処できますが、重度の場合は耳の組織を丸ごと取り除く手術が必要になることもあります。病気の発生や症状の悪化を防ぐためには、適切な方法で耳のお手入れをしたり、日頃から耳を観察したりすることが大切です。

「富士見台どうぶつ病院」では、ご家庭で飼われているわんちゃんの一般診療や健康診断を行っています。愛犬の耳の状態が気になる方は、当院までお気軽にご相談くださいませ。

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