歯磨き
2024年07月02日

犬の歯磨きのやり方をわかりやすく解説!手順や頻度、嫌がるときの対処法もご紹介

わんちゃんの健康を守るためには、毎日のオーラルケアが必要です。しかし、実際に歯磨きをしようとすると、「どうやって磨けばいいのかわからない」「どれくらいの頻度で磨けばいいんだろう」と悩んでしまう方は少なくありません。

今回は、犬の歯磨きのやり方や頻度について解説します。歯磨きを嫌がるときの対処法や事前に知っておくべきポイントも紹介しますので、日々の愛犬のケアにお役立てください。

 

 

【全5ステップ】犬の歯磨きのやり方

わんちゃんにとって歯磨きは日常的なものではないため、段階を踏んで慣れさせていくことが大切です。これから愛犬の歯磨きに挑戦する方は、以下のステップをひとつずつクリアしていきましょう。

<犬の歯磨きのやり方>

  • 口の周りに触れる
  • 口や歯に触れる
  • シートで歯を磨く
  • 歯ブラシに慣れさせる
  • 歯ブラシで歯を磨く

ここからは、犬の歯磨きのやり方を①〜⑥のステップに分けて詳しく解説していきます。

①口の周りに触れる

いきなり口の中の様子を見ようとすると、わんちゃんがびっくりしてしまいます。そのため、まずは口の周りに触れることからスタートしましょう。

犬にも構ってほしくないタイミングが存在しますので、触れる前にリラックスしているかどうかを確認し、触るときは優しく撫でるようにしてください。少しでも触らせてくれたら、「いい子だね」と褒め言葉をかけたり、おやつなどのご褒美を与えたりします。このようにして、「口周りを触られるといいことがある」と覚えてもらうことが大切です。

②唇や歯に触れる

次に、口の中を触られることに慣れてもらうため、唇や歯に触れていきます。犬の口の中を触るときは、以下のように手前の部分から奥の部分へと進んでいくのが基本です。

<犬の口の中を触る順番>

  • 唇に触れる・めくる
  • 切歯(前歯)に触れる
  • 犬歯(牙)に触れる
  • 臼歯(奥歯)に触れる

初めから口の奥に手を入れようとすると、わんちゃんが嫌がったり怖がったりしてしまいます。「歯磨き=楽しいこと」と覚えてもらうためには、愛犬の気持ちに寄り添いながら、段階的に進めていくことが大切です。嫌がらずに①〜④のことをさせてくれたら、そのたびにしっかり褒めてご褒美を与えましょう。

③シートで歯を磨く

口内の様子をスムーズに確認できるようになったら、犬の歯磨き用シートで歯を磨いてみましょう。まずはシートを指にしっかりと巻き付け、歯と歯茎の表面を優しく撫でます。嫌がる様子がなければ、前歯から奥歯に向かって少しずつ進んでいきましょう。

お手元に歯磨き用シートがない場合は、ガーゼや綿棒などで代用可能です。乾いたガーゼや綿棒でこすると、歯茎を傷付けることがありますので、必ず水やぬるま湯で濡らすようにしてください。犬用の歯磨き剤があれば、そちらも活用して問題ありません。

④歯ブラシに慣れさせる

デンタルシートの歯磨きに慣れてきたら、いよいよ歯ブラシの登場です。最初は歯ブラシに慣れてもらうため、濡らした歯ブラシを舐めさせることからスタートします。わんちゃんの興味を引き出すために、好みの缶詰の汁や歯磨き剤などを付けるのもおすすめです。

歯ブラシの匂いを嗅いだり、ペロッと舐めたりしたら、しっかり褒めてあげましょう。慣れてきたら、歯磨き剤を付けた歯ブラシを口の中に入れます。嫌がらなかった場合はご褒美を与えて、次の段階に進めそうであれば歯と歯茎の間に歯ブラシをそっと当ててみましょう。ご褒美を与えつつ、当てる場所を変えていくことで、歯ブラシに対する抵抗感が少しずつ薄まっていきます。

⑤歯ブラシで歯を磨く

わんちゃんが歯ブラシに慣れてきたところで、初めて歯を磨きます。犬の歯を磨くときの基本的な流れは以下のとおりです。

<犬の歯磨きの基本的な流れ>

  • 歯ブラシを水やぬるま湯、歯磨き剤で濡らす
  • 優しい力で前歯の外側から奥歯に向かって磨いていく
  • 1箇所磨くごとにご褒美をあげて歯磨きに慣れさせる

犬の歯磨きに使用する歯ブラシは、磨きやすさと安全性の面から、ヘッドが小さく毛が柔らかいタイプのものがおすすめです。歯の磨き方に関しては、人間の歯磨きと同じように、歯ブラシを歯に対して45度の角度で当てるのが基本となります。力を入れすぎると、歯茎を傷付けてしまう可能性がありますので、常に優しく磨くことを心掛けましょう。

なお、犬の集中力は長く続かないため、何回かに分けて磨いても構いません。最初から完璧に磨こうとせず、愛犬の機嫌をとりながら、まずはできる範囲でケアを行うことが大切です。

犬の歯磨きの頻度

犬の歯磨きは、できれば毎日、最低でも3日に1回は行いたいところです。一般的に、犬は食後数時間で歯に付いた汚れが歯垢になり、さらに3〜5日で歯石になるとされています。

そのため、毎日少しずつでも歯磨きを続けていけば、健康な歯を保ちやすいです。毎日の歯磨きが難しそうな場合は、3日に1回を目安に継続していくといいでしょう。

犬が歯磨きを嫌がるときの対処法

ここまで犬の歯磨きのやり方について解説してきましたが、実際に歯を磨こうとすると、嫌がるわんちゃんも少なくありません。もし愛犬が歯磨きを嫌がる場合は、以下の対処法を実践してみましょう。

<犬が歯磨きを嫌がるときの対処法>

  • 段階を踏んで慣れさせていく
  • タイミングを工夫する
  • 便利グッズを使う
  • どうしても嫌がる場合は獣医師に相談する

以下では、上記の4つの対処法について解説していきます。

段階を踏んで慣れさせていく

前述のとおり、犬にとって歯磨きは日常的なものではありません。そのため、口の周りを触ることからスタートし、段階を踏んで慣れさせていく必要があります。

最初のうちは歯を磨くことより、歯磨きの時間を楽しくすることを意識してみましょう。時間はかかるかもしれませんが、愛犬に「歯磨き=楽しいこと」と覚えてもらえれば、嫌がらずに受け入れてくれるはずです。

タイミングを工夫する

犬が歯磨きを嫌がる理由のひとつとして、タイミングが悪いことが考えられます。散歩の後などリラックスしているときであれば、大人しく歯磨きを受け入れてくれるケースが多いため、ぜひお試しください。

便利グッズを使う

最近では犬の口腔ケアに関する便利グッズがたくさん発売されています。もし愛犬が歯磨きを嫌がる場合は、犬用の歯磨きジェルや歯磨きガム、歯磨きおもちゃなど好みのものを探して使ってみるのもおすすめです。

どうしても嫌がる場合は獣医師に相談する

さまざまな方法を試しても歯磨きを嫌がる場合は、獣医師に一度相談してみましょう。すでに歯周病など口腔内の疾患があり、痛みを感じることから歯を触らせてくれないという可能性もあります。歯周病に関しては、最悪の場合は心臓病や肝臓病を引き起こす要因にもなりますので、早めに受診することが大切です。

犬の歯磨きに関する大切なポイント

一度でも「歯磨きは怖い・痛い」というイメージを持ったわんちゃんは、歯磨きを嫌がるようになります。このような状況を避けるためにも、初めて犬の歯磨きに挑戦する方は、以下の6つのことを心に留めておいてください。

<犬の歯磨きにおいて大切なポイント>

  • 少しずつ歯磨きに慣れさせていく
  • ご褒美を使って楽しく練習する
  • リラックスしているときに練習する
  • 嫌がるまで続けない
  • 歯磨きが終わったらしっかり褒める
  • 犬用の歯ブラシを使う(必ず濡らしてから使う)

犬の歯磨きにおいて大切なことは、わんちゃんに楽しく感じてもらうことです。上記のポイントを押さえておけば、愛犬に負担をかけることなく、歯磨きを習慣化できるでしょう。

また、犬の歯も「歯石」が付く前にケアをすることが大切ですが、特に磨きにくい上下の犬歯や奥歯などには歯石が付いてしまうこともあります。もし歯石が確認できた場合は、速やかに動物病院で除去してもらいましょう。

まとめ

今回は、犬の歯磨きのやり方について解説しました。私たち人間と同じように、わんちゃんも毎日歯を磨くことで、健康な歯を保ちやすくなります。さらに歯周病の予防は、ほかの病気の予防につながる可能性もありますので、正しい方法でしっかりケアしてあげましょう。

また、犬が歯磨きを嫌がるケースは非常に多く、慣れるまで大変なこともあると思います。どれだけ工夫をしても嫌がるようであれば、決して無理強いはせず、動物病院に一度相談してみるといいでしょう。

「富士見台どうぶつ病院」では、歯石除去や必要に応じて抜歯をするなどの歯石処置を行っています。愛犬の歯について気になることがありましたら、当院へお気軽にご相談ください。

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