ご飯を食べない
2024年07月30日

猫がご飯を食べないのはなぜ?考えられる5つの原因とおすすめの対処法をご紹介

愛猫が急にご飯を食べなくなると、飼い主さまは「病気かもしれない」と心配になると思います。もちろん病気によって食欲がなくなることもありますが、猫の性格や習性などに起因して食欲不振が起こることも少なくありません。

今回は、猫がご飯を食べない原因や対処法、病気が疑われる症状について解説します。愛猫の食欲不振に悩んでいる方や、もしもの場合に備えておきたい方はぜひ参考にしてください。

 

 

猫がご飯を食べない5つの原因

猫の食欲不振自体は決して珍しいことではなく、元気な子でもご飯を食べないことがあります。そのため、まずは落ち着いて様子を見ることが大切です。

猫ちゃんがご飯を食べない理由はさまざまですが、多くの場合は以下のいずれかに該当します。

<猫がご飯を食べない原因>

  • ご飯の好き嫌い・同じご飯に飽きている
  • ストレスで食欲が低下している
  • 繁殖期を迎えている
  • 加齢によって食欲が落ちている
  • なんらかの病気にかかっている

ここからは、それぞれの原因について詳しく解説していきます。

①ご飯の好き嫌い・同じご飯に飽きている

猫はもともと偏食であり、味だけでなく食感や香りなどにも猫それぞれの好みがあります。そのため、いつもとは違うフードを与えられた場合に、食べることを拒否する猫ちゃんはとても多いです。この場合は単なる「わがまま」のレベルですので、大きな問題にはならないでしょう。

また、同じ食事を与え続けていると、猫ちゃんがご飯に飽きてしまうこともあります。これは猫が新しいもの好きという習性を持つためです。人間と同じように、猫にも好き嫌いがあり、飽きが来ることを覚えておきましょう。

②ストレスで食欲が低下している

猫はデリケートな生き物であり、ストレスが原因でご飯を食べなくなることも多いです。猫ちゃんがストレスを感じる要因として、次のようなものが挙げられます。

項目 原因
生活環境 ・ほかの動物と同居している
・飼い主さまに食事を見張られる
食事環境 ・食器が汚れている
・食器が深すぎて食べにくい
・周囲が騒がしい(人の出入りが多い)
・食事場所とトイレが近い
・極端に暑いまたは寒い
環境の変化 ・引っ越しをして新しい環境になった
・出産などで新しい家族が増えた
・見知らぬ人が家に来た

猫ちゃんがストレスを感じる原因はさまざまですが、何かを怖がっているときや落ち着かない環境にいるときに食欲は低下します。そのため、愛猫がリラックスして過ごせる環境を整えてあげることが重要です。

③繁殖期を迎えている

猫は繁殖期または発情期を迎えると、一時的に食欲が抑制されることがあります。簡潔に説明すると、生殖に集中するため、「食事どころではない」ということです。

なお、猫の繁殖期は特に決まっておらず、一年を通していつでも発情する可能性があります。つまり、去勢・避妊手術を受けていない場合、不定期にご飯を食べないようになるのは自然なことだといえます。

④加齢によって食欲が落ちている

加齢による活動量の低下に伴い、食欲が落ちてしまうことも少なくありません。人間と同じように、猫も年をとると睡眠時間が増え、運動量が減ります。さらに消化機能も徐々に落ちていくため、シニア期の猫ちゃんがご飯を食べない場合には、フードの切り替えを検討したほうがいいでしょう。

そのほか、高齢の猫ちゃんは寝床から食事場所が遠かったり、認知症になったりすることで食欲が落ちてしまうこともあります。さまざまな原因が考えられるため、心配な方はかかりつけの獣医師に一度相談してみるといいでしょう。

⑤なんらかの病気にかかっている

猫の食欲不振は、なんらかの病気に起因している可能性もあります。食欲不振を引き起こす主な病気は以下のとおりです。

<食欲不振を引き起こす主な病気>

  • 口腔内の疾患(口内炎や歯周病など)
  • 消化器系の疾患(胃腸炎や異物の誤飲など)
  • 泌尿器系の疾患(慢性腎不全や膀胱炎など)
  • 感染症(猫エイズや猫白血病など)

なお、食欲不振が現れる病気はたくさんあるため、飼い主さま自身で疾患の特定や病気かどうかを判断することは困難です。愛猫に元気がない場合やなかなかご飯を食べない場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

猫がご飯を食べないときに様子を見るべき時間

猫ちゃんがご飯を食べないのは、病気が原因ではないケースも多いため、「どれくらい様子を見るべきか」と迷ってしまう方も多いでしょう。猫ちゃんの食欲不振に関しては、年齢に応じて経過観察の基準が設けられています。

年齢 ご飯を食べていない時間
1〜2ヶ月 8時間
2〜3ヶ月 12時間
3〜4ヶ月 16時間
1歳以上 24時間

上記の基準よりもご飯を食べない時間が長く続いている場合、なんらかの理由のある食欲不振と推測できます。特に肥満気味の猫ちゃんは、何も食べない状態が36時間を超えると、「脂肪肝(肝リピドーシス)」になるリスクが高まるので要注意です。絶食が許されるのは36時間までと考え、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

猫がご飯を食べないときにチェックしておきたいこと

食欲不振だけではなく、普段と違った様子やほかの症状が見られる場合には、なんらかの病気が疑われます。以下のような異常が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。

<病気の可能性が疑われる主な症状>

  • いつもと比べて元気がない
  • 呼吸が速い(苦しそうにしている)
  • 水を飲む量が増えた
  • よだれを垂らしている
  • 嘔吐や下痢をする
  • 排尿をしない(トイレの回数が減った)

猫がご飯を食べないときの対処法

最後に、猫ちゃんがご飯を食べないときの対処法を紹介します。食欲不振の原因が病気でない場合、以下の方法を実践すれば、ご飯を食べるようになることがほとんどです。

<猫がご飯を食べないときの対処法>

  • ご飯の種類を変える・温めてから与える
  • 落ち着いて食べられる環境を整える
  • 運動量を増やす
  • おやつを与えすぎないようにする

ご飯を食べない原因は猫ちゃんによって異なるため、愛猫に合った方法で食欲不振を改善しましょう。

ご飯の種類を変える・温めてから与える

猫ちゃんがご飯を食べないときは、食事の内容を変えることで食欲を取り戻すケースが多いです。魚メインの食事から肉メインの食事に切り替えたり、猫用のふりかけを使って味や食感を変えたりすれば、食い付きの改善が期待できるでしょう。

また、猫ちゃんは温かい食べ物を好む傾向があります。電子レンジなどで人肌ほどの温度まで温めると香りが立ち、さらに風味が増すため、これだけで食欲不振が改善することも少なくありません。

落ち着いて食べられる環境を整える

猫ちゃんが落ち着いてご飯を食べられるよう、環境を整えてあげることも大切です。例えば、食事中に周りのことを気にしているようであれば、「ゲージの中にフードを置く」「食事中は一匹にしてあげる」など、安心できる食事場所を用意してあげましょう。

また、猫は臭いにも敏感なため、食器は臭いがつきにくい「陶器製」のものがおすすめです。陶器には傷がつきにくい、汚れが溜まりにくいといった特徴があり、管理がしやすいというメリットもあります。

運動量を増やす

適度な運動は、食欲増進だけでなくストレス解消にも効果的です。猫ちゃんと遊ぶ時間を増やしたり、新しいおもちゃを与えたりすれば、自ずと食欲が戻ってくるでしょう。スペースに余裕がある場合は、キャットタワーの導入を検討してみるのもいいでしょう。

おやつを与えすぎないようにする

猫ちゃんにおやつを与えている場合は、その頻度や量を減らすようにしましょう。人間と同じように、猫もおやつを食べすぎてしまうと、食事をとる気が起きなくなります。

なお、おやつの適正量は一日に必要な摂取カロリーの20%が目安です。猫にとっておやつは毎日必要なものではないため、あくまでコミュニケーションの一環として与えるようにしましょう。

まとめ

猫ちゃんがご飯を食べないときは、食事・ストレス・繁殖期・加齢などの原因が考えられます。もちろん病気の可能性もありますが、必ずしも健康に問題があるとは限らないため、まずは愛猫の様子をよく観察することが大切です。

しかしながら、大切なご家族が急にご飯を食べなくなると、やはり心配になるものです。原因がわからなかったり、少しでも異常が見られたりした場合には、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

「富士見台どうぶつ病院」では、ペット動物たちの健康をサポートするために、一般診療や健康診断を行っています。愛猫の食欲不振が気になる方は、当院までお気軽にご相談ください。

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