吐く毛玉
2024年07月27日

猫が吐く毛玉の正体とは?嘔吐の原因や対策、注意すべき症状についても解説

猫はよく毛玉を吐く動物として知られていますが、愛猫が嘔吐する姿を見て不安になっている方も多いのではないでしょうか。猫ちゃんが毛玉を吐き出すのには理由があるため、この機会に知識を深めておきましょう。

今回は、猫が吐く毛玉の正体や嘔吐の原因についてわかりやすく解説します。毛玉を吐く回数を減らす方法についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

猫が吐く毛玉の正体とは

猫が吐き出す毛玉の正体は、毛づくろい(グルーミング)の際に飲み込んだ自らの毛です。その大きさは猫ちゃんによってさまざまですが、飼い主さまが驚くほど大きい毛玉を吐き出すこともあります。

また、水分が多く、とても毛玉とは思えないようなものを吐くケースも珍しくありません。初めて見たときはびっくりするかと思いますが、猫において毛玉を吐くという行為は「生理的な嘔吐」として扱われます。

猫が毛玉を吐く理由

前述のとおり、猫が毛玉を吐き出すのは、毛づくろいの最中に被毛を飲み込むのが原因です。猫の舌はザラザラしており、この形状がブラシの役割を果たし、毛づくろいの際に体毛をキャッチします。

通常、飲み込んだ毛は消化管を通って便として排泄されますが、一部の毛は消化されずに毛玉となります。そのままにしておくと、毛玉が胃に負担をかけたり腸に詰まったりしてしまうため、定期的に飲み込んだ毛を吐き出しているのです。

毛玉を吐きやすい猫種や時期>

基本的に、長毛種の猫(被毛が長い猫)は毛玉を吐きやすい傾向があります。しかし、長毛種であっても個体差があるため、被毛が長いからといって毛玉を吐きやすいとは言い切れません。また、季節の変わり目(換毛期)は抜け毛が多くなることから、猫種に関係なく毛玉を吐きやすくなります。

猫が毛玉を吐くタイミングと頻度

猫が毛玉を吐くタイミングや頻度は、猫ちゃんによって異なります。月に数回ほど吐く猫ちゃんもいれば、年に数回しか吐かない猫ちゃんもいるため、一概にはいえません。

これから先、愛猫が思わぬところで毛玉を吐いてしまうこともあるでしょう。しかし、猫が毛玉を吐くのは生理現象のため、もし部屋などを汚してしまっても大らかな気持ちで接してあげてください。

猫が毛玉を吐いても基本的には大丈夫

個人差はありますが、猫が毛玉を吐くのは普通のことです。猫はもともと吐きやすい動物のため、週に1回程度の吐き戻しであれば、そこまで気にする必要はありません。

しかし、あまりにも毛玉を吐く回数が多い場合には、体になんらかの異常をきたしていることが考えられます。そのほか、「苦しそうに体を揺らしている」「吐きそうで吐かない」などの異変が現れた場合にも、毛球症などの病気が疑われるので注意が必要です。いつもとは違う様子が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。

猫が毛玉を吐く回数を減らす方法

猫が毛玉を吐くのは普通とはいえ、できるだけ生活空間や猫ちゃんの毛をきれいに保ちたいと考える方は多いと思います。飼い主さまのなかには、嘔吐自体が胃や食道の負担になることから、「愛猫の負担を減らしてあげたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。

以下の対策を講じれば、猫が毛玉を吐く回数を減らすことが期待できますので、お困りの方はぜひお試しください。

こまめにブラッシングする

有効な毛玉対策として、こまめなブラッシングが挙げられます。ブラッシングを行うと、猫が飲み込む被毛の量を減らせるため、毛玉を吐く頻度を抑えることが可能です。

短毛種の場合は週に3回程度、長毛種や換毛期の猫ちゃんの場合は毎日ブラッシングをしてあげましょう。ただし、猫ちゃんのなかには撫でられることを嫌がる子も多いです。

また、体調や気分が悪いときに無理やりすると、ブラッシング自体を嫌いになってしまう可能性があります。そのため、愛猫の様子をうかがいつつ、無理のない範囲でケアをすることが大切です。

毛玉対応のフードを与える

毛玉対応のフードを活用するのも効果的です。毛玉ケアキャットフードには食物繊維が豊富に含まれており、胃に溜まった毛玉の排出を促してくれます。

飲み込んだ毛を吐かせるのではなく、便とともに排泄できるように働きかけてくれるため、結果として毛玉を吐く回数を減らすことが期待できます。猫ちゃんへの負担が少ない点もポイントです。

なお、毛玉対応のフードを選ぶときは毛玉の排出のしやすさだけではなく、栄養バランスや愛猫の年齢・体重に合っているかという点にも注目しましょう。加えて、猫ちゃんに美味しく食べてもらえるよう、好みに合ったものを選ぶことも重要です。

猫草を活用する

猫ちゃんが好んで食べる草のことを「猫草」といいます。燕麦(えんばく)をはじめとする猫草には、胃を刺激して毛玉を吐きやすくしたり、食物繊維の働きでお通じをよくしたりする効果があるといわれています。

毛玉対策として無理に食べさせる必要はありませんが、猫ちゃんが好んで食べるようであれば、インテリアもかねて置いておくのもいいでしょう。ただし、猫草を好まない子もいますので、その場合には食物繊維が豊富に含まれているフードで対応するのがおすすめです。

注意したい猫の嘔吐

猫はもともと吐きやすい動物ではありますが、必ずしも飲み込んだ毛が原因で吐いているとは限りません。以下のような症状が見られる場合、なんらかの病気がある可能性がありますので、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。

<注意したい猫の嘔吐>

  • 1日に何度も吐く
  • 連日吐いている
  • 吐く回数が増えた
  • 吐いていて食欲がない
  • 嘔吐物に異物や血が混ざっている
  • 嘔吐だけではなく下痢もしている
  • えずきながら吐いている(またはえずいているのに何も出ない)

猫ちゃんが嘔吐を繰り返すようになったり、食欲がなくなったりした場合、毛球症(胃の中に毛玉が溜まっている状態)が疑われます。この状態を放置しておくと、結果として腸を塞いでしまい、腸閉塞を起こすこともあるので注意が必要です。

また、猫ちゃんが嘔吐を起こす原因として、胃腸炎・異物誤食・膵炎(すいえん)などが挙げられます。命に関わる病気が隠れている可能性もありますので、少しでも異変を感じたら、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

まとめ

猫にとって毛玉を吐くのは普通のことであり、健康を維持するために欠かせない行為の一つです。しかし、あまりにも吐く回数が多かったり、いつもとは違う様子が見られたりする場合には病気が隠れている可能性があります。どのような病気も早期発見・早期治療が重要ですので、気になることがあればすぐに獣医師に相談しましょう。

また、猫ちゃんの健康を守るためには、日々の観察とケアが欠かせません。毛玉対策としては、特にこまめなブラッシングが効果的ですので、ぜひ愛猫のケアにも取り入れてみてください。

「富士見台どうぶつ病院」では、ペット動物たちの健康を守るため、一般診療や健康診断を行っています。検査結果をもとに適切な治療やケアをご提案いたしますので、愛猫に関するお困りのことがありましたら、当院までお気軽にお問い合わせください。

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