水をよく飲む
2024年08月02日

猫が水をよく飲む理由とは?考えられる病気や原因、確認したいポイントを解説

猫は砂漠地帯出身の動物であり、あまり水を飲まなくても生きていくことができます。もし愛猫が水をたくさん飲んでいる場合、なんらかの病気のサインかもしれません。

今回は、猫が水をよく飲むことで疑われる病気や、ほかに考えられる原因について解説します。飼い主さまにチェックしてほしい症状や、猫の一般的な飲水量などにも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

猫が水をよく飲むことで疑われる病気

猫ちゃんが水をよく飲むようになった場合、病気の初期症状であることが考えられます。可能性のある病気は以下のとおりです。

<猫が水をよく飲むことで疑われる病気>

  • 慢性腎不全
  • 糖尿病
  • 子宮蓄膿症
  • その他(臓器の炎症など)

以下では、それぞれの病気について詳しく解説します。

慢性腎不全

猫ちゃんが水をよく飲むようになったら、まず慢性腎不全が疑われます。慢性腎不全とは、長期間にわたって腎臓の機能が徐々に低下し、正常な働きができなくなった状態のことです。

腎臓は「老廃物を尿として排泄する」という重要な機能を持っていますが、生活習慣や加齢などが原因で腎臓の働きが悪くなると、老廃物を十分排泄できなくなります。そして低下した腎機能を補うため、水をよく飲んで尿をたくさん出すようになるのです。

猫はもともと水を飲む量が少ないことから、腎臓に負担がかかりやすく、慢性腎不全になりやすい傾向があります。特に高齢の猫に多く見られる病気のひとつです。

糖尿病

人間と同様に、猫も糖尿病にかかることがあります。糖尿病とは、インスリンというホルモンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまう病気です。

いわゆる血糖値が高くなっている状態のことで、初期症状としては水をよく飲むようになり、それに起因して尿量が増えます。糖尿病にかかると、ブドウ糖でなく脂肪や筋肉を分解してエネルギーを得ようとするため、体重が減少してしまうケースも多いです。

子宮蓄膿症

雌猫の場合、子宮蓄膿症の可能性も疑われます。子宮蓄膿症とは、子宮が細菌感染して炎症を起こし、子宮の中で膿が溜まる病気のことです。

主な症状としては水をよく飲むようになるほか、食欲不振や元気消失、嘔吐などが挙げられます。これらの症状に加えて、腹部が張ったり、子宮から膿が出たりするのも特徴です。

その他

肝臓や膵臓(すいぞう)などに炎症がある場合や、体のどこかに腫瘍ができている場合にも水をよく飲むようになります。前述のとおり、猫はあまり水を飲まない生き物です。そのため、もし愛猫が水をよく飲むようになった場合には、病気のサインかもしれないと考える必要があるでしょう。

猫が水をよく飲むときにチェックしてほしい症状

愛猫が水をよく飲むときは、以下の症状が現れてないかチェックしてみましょう。体調面の変化があった場合、すでに病気が進行している可能性があります。

<猫が水をよく飲むときにチェックしてほしい症状>

  • おしっこの量や回数が増えた
  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 体重が減った・痩せた
  • 口臭がきつくなった
  • 嘔吐や下痢をするようになった

特に注意してほしいのが、「多飲多尿(水をよく飲んで尿をたくさん出す)」という症状です。この症状が見られる場合、慢性腎不全や糖尿病になっている可能性があります。

また、「食欲がない」「体重が減った」というような目立った症状が現れる頃には、すでに重症化しているケースも少なくありません。愛猫の体調に少しでも異変を感じたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。

猫が病気以外で水をよく飲む原因

猫が水をよく飲むようになるのは、必ずしも病気が原因であるとは限りません。病気以外に考えられる主な原因は以下のとおりです。

<猫が病気以外で水をよく飲む原因>

  • 食事
  • ストレス
  • 気温

それでは、病気以外の原因についても詳しく見ていきましょう。

食事

食事の内容によっては、猫ちゃんが水をよく飲むようになることがあります。例えば、ウェットフードからドライフードに切り替えた場合、食事から摂取できる水分量が減ります。その結果、不足した水分量を補うため、水をたくさん飲むことがあるのです。

また、塩分が多いものや刺激が強いものを与えた場合にも、水をよく飲むようになります。これらの点に心当たりがある方は、食事内容を変更して様子を見てみると良いでしょう。

ストレス

猫ちゃんが強いストレスを感じると、自律神経が乱れてしまい、水をたくさん飲むこともあります。病気や食事などが原因でない場合は、愛猫の様子をよく観察してストレス源を探り、できるだけ取り除いてあげましょう。

気温

人間と同様に、猫も気温が高い日には水をよく飲んで体温調節することがあります。特に異常が見られず、夏場などに水を飲む量が増えたという場合は、過度に心配する必要はないでしょう。

猫の一般的な飲水量

「そもそも猫って一日にどれくらい水を飲むんだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか。その日の気温など状況にもよりますが、猫が一日に必要とする水分量は「体重1kgあたり50ml」が目安とされています。

例えば、体重が5kgの場合、一日に必要な水分量はおおよそ250mlです。この基準値を大幅に超えている場合は「多飲」と判断します。

猫の飲水量の量り方

猫ちゃんが飲んでいる水の量は、「直接飲んだ水の量」と「食事に含まれる水分量」から算出できます。以下にそれぞれの量り方をまとめましたので、愛猫の健康管理にお役立てください。

<直接飲んだ水の量の量り方>

  • 計量カップで水を量り、水飲み用の容器に入れる
  • 同じ量の水を入れた容器を用意し、目が粗いザルなどを被せる
  • 24時間後、ザルなどを被せた容器の水を量る(蒸発した水の量を調べる)
  • 水飲み用の容器の水を量る(猫が飲んだ水の量を調べる)
  • 猫が飲んだ水の量から蒸発した水の量を引く

上記の方法であれば、より正確に直接飲んだ水の量を量ることができます。ただし、1日のみのチェックでは傾向がつかめないため、数日続けて平均的な水分量を確認しましょう。

また、食事に含まれる水分量については、ウェットフードは全体の75%・ドライフードは全体の10%で計算することでおおよその量がわかります。例えば、100gのウェットフードの場合、約75ml(100×0.75=75ml)の水分が含まれています。

そして直接飲んだ水の量と食事に含まれる水分量を合わせれば、愛猫の一日の飲水量を知ることが可能です。猫ちゃんの健康を守るためにも、一日の飲水量は1ヶ月に一度くらいを目安にチェックすることをおすすめします。

まとめ

猫において「水をよく飲む」という行動は、なんらかの病気のサインかもしれません。原因がわからない場合やほかの症状が見られる場合には、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

深刻な病気でなかったとしても、猫は腎臓を悪くしやすい生き物です。腎臓は一度機能が低下すると、元に戻すことは困難なため、定期的に健康診断を受けて早期発見・早期治療につなげましょう。

「富士見台どうぶつ病院」では、ペット動物たちの健康を守るため、一般診療だけでなく健康診断も行っています。精密検査の結果を元に、最適な治療法やケア方法をご提案いたしますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

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