猫の顎ニキビの原因とは?症状や治療法、今すぐできる予防法もご紹介
人間と同じように、猫にもニキビができることをご存じでしょうか。猫のニキビはアクネや痤瘡(ざそう)とも呼ばれており、比較的よく見られる皮膚病の一つです。愛猫の顎の下に黒いブツブツや赤い斑点などが見られる場合、もしかしたらニキビかもしれません。
今回は、猫の顎ニキビの原因や症状、治療法について詳しく解説します。おすすめの予防法もいくつか紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
猫の顎ニキビの原因
猫のニキビの正体は、毛穴に詰まった角質・皮脂・汚れですが、正確な原因はまだ解明されていません。しかし、関連すると思われる要因はいくつか挙げられています。
<猫の顎ニキビに関連すると思われる要因>
- 皮脂の過剰分泌
- 食器素材・食べ物のアレルギー
- 偏った食生活
- 食器に繁殖した雑菌
- 細菌やダニの繁殖
- グルーミング不足
- ストレス
- ホルモンバランスの乱れ
- 免疫機能の低下
猫の顎ニキビは、皮脂の過剰分泌や食物アレルギーなど体質的な問題のほか、細菌感染・グルーミング不足・ストレスなども要因として考えられています。顎ニキビができる原因はさまざまですが、まずは猫ちゃんに負担をかけないよう、清潔かつ快適な生活環境を整えてあげることが大切です。
猫の顎ニキビの症状
猫の顎ニキビの症状は、軽度・中度・重度の3つに大別されます。以下では、それぞれの段階で見られる症状や対応方法について解説します。
軽度の症状
軽度の場合、皮脂が毛に絡み、黒い砂粒のようなものが見られます。無症状のため、猫ちゃんがニキビを気にすることはありません。この段階で後述するケアを行えば、ニキビの悪化や二次感染を防ぐことが可能です。
中度の症状
症状が進むと、黒いブツブツが目立つようになり、範囲も広がります。そのほか、毛が抜けて赤い斑点のようなものができ、かゆみや痛みを伴うことも多いです。こうした症状が見られた場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
重度の症状
重度になると、ただれて出血したり、細菌感染を起こして化膿したりすることもあります。これらの症状に関しては、自宅でのケアができないため、早めに動物病院を受診するようにしてください。
自宅でできる猫の顎ニキビのケア方法
症状が軽度(黒いブツブツのみ)の場合、自宅でケアをすることができます。まずは清潔なコットンやガーゼを用意し、ぬるま湯に浸しましょう。そして濡らしたコットンやガーゼを使って、ニキビができている部分を優しく拭いてください。自宅でケアをする際に、注意すべきポイントは以下のとおりです。
注意点 | 理由 |
強くこすらない | 炎症の原因になるため |
自己判断で人用のニキビ薬を使わない | 人間と猫のニキビは別物であり、中毒を起こす可能性があるため |
鋭利なもの(歯ブラシやピンセットなど)でニキビを除去しない | 皮膚に傷が付き、症状が悪化する可能性があるため |
手短に済ませる | 猫によっては顎の下や口の周りを触られるのを嫌がるため |
また、顎の下に汚れが付着している場合は、猫用のシャンプーで優しく洗うのも効果的です。シャンプーの成分が残っていると、皮膚トラブルの原因になりますので、洗い終わったらしっかりと落としましょう。加えて、洗浄後は濡れた毛をよく乾かしてください。
一週間経っても改善しなかったり、猫ちゃんにかゆがる様子が見られたりする場合には、早めに動物病院に連れて行きましょう。
猫の顎ニキビの治療法
症状が進んでいる場合、動物病院での治療が必要になります。動物病院では、症状に合わせて以下のような治療を行います。
<猫の顎ニキビの治療法>
- 薬用シャンプー
- 塗り薬
- 消毒薬
- 内服薬
症状が重度の場合や被毛が長い場合には、病変部周辺の毛を刈ることもあります。これはニキビができている部分をきれいに洗浄したり、外用薬を塗布したりするためです。
また、細菌感染を伴う場合は、クロルヘキシジンなどの消毒液や抗生剤の塗り薬・内服薬などを用います。適切な治療を行えば、一般的には2〜3週間程度で改善するケースがほとんどです。
前述のとおり、猫の顎ニキビはさまざまな原因で起こると考えられており、アレルギー反応や免疫機能の低下などにも関与するといわれています。そのため、対症療法だけではなく、根本治療が必要になるケースがあることもあわせて覚えておきましょう。
猫の顎ニキビの予防法
猫において顎ニキビはよく見られる皮膚病であり、再発をくり返すケースも少なくありません。以下の予防法を実践すれば、猫ちゃんの顎ニキビを防ぎやすくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
<猫の顎ニキビの予防法>
- 食器の素材を見直す
- フードを見直す
- 食器をこまめに洗う
- 顎の下を清潔に保つ
- 清潔な環境を整える
- ストレスが溜まりにくい環境を整える
ここからは、それぞれの予防法について解説していきます。
食器の素材を見直す
猫ちゃんのなかには、プラスチックやステンレスなどの素材に対してアレルギー反応を起こす子もいます。食器の素材が原因でニキビができてしまうこともあるため、アレルギーが生じにくいガラス製や陶器製の素材に変更するのがおすすめです。
フードを見直す
フードそのものが猫に合っていないことで、ニキビができるケースもあります。あらゆる予防法を実践してもニキビができる場合は、獣医師の意見を参考に、一度フードを見直してみましょう。
なお、脂質の多い食事はニキビの原因になるといわれています。そのほか、食物アレルギーが原因でニキビができることもあるため、フードに含まれる成分に配慮することも重要です。
顎の下を清潔に保つ
猫の顎の下は、フードや水などの汚れが付きやすい場所であり、また毛づくろいしにくい場所でもあります。不衛生になりがちなため、顎の下が汚れていたら、清潔なコットンやガーゼで優しく拭き取ってあげましょう。被毛に付いている汚れを取り除いてあげることも、顎ニキビの予防につながります。
清潔な環境を整える
細菌や寄生虫が感染すると、ニキビをはじめとするさまざま症状を引き起こします。そのため、猫ちゃんの健康を守るためには、清潔な環境を整えることが欠かせません。定期的に掃除や洗濯などを行い、猫ちゃんの生活空間を清潔に保ちましょう。
ストレスが溜まりにくい環境を整える
過剰なストレスも皮膚トラブルの原因となることがあるため、ストレスが溜まりにくい環境を整えてあげることも大切です。猫ちゃんがストレスを感じる原因はさまざまですが、引っ越しによる環境変化や苦手な相手との触れ合い、飼い主さまとのスキンシップ不足などが挙げられます。
まずは猫ちゃんを取り巻く環境を調べて、何に対してストレスを感じているのかよく観察してみましょう。ストレスの原因がわかったら、落ち着いて過ごせる場所を作ったり、遊ぶ時間を増やしたりするなど快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
まとめ
今回は、猫によく見られる顎ニキビについて解説しました。症状が軽度のうちは、自宅でのケアで良化することがほとんどです。愛猫の顎の下に汚れや黒いブツブツが見られた場合には、ぬるま湯で湿らせた清潔なガーゼやコットンで優しく拭き取ってあげましょう。
また、猫ちゃんのニキビの原因はさまざまで、再発をくり返すケースも少なくありません。その場合、何かしらの基礎疾患が疑われますので、一度かかりつけの動物病院を受診することをおすすめします。
「富士見台どうぶつ病院」では、ご家庭で飼われているペット動物たちの一般診療や健康診断を行っています。大切な愛猫がいつまでも健やかにいられるようサポートいたしますので、猫ちゃんのニキビや体調について気になることがありましたら、当院までご相談ください。